データセキュリティと知的財産(IP) 12 min

グローバルチームの知的財産権と発明権:すべての企業が知っておくべきこと

執筆者: Preston Wickersham
2024年7月9日
Preston Wickersham

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全員が同じ社内で勤務していれば、知的財産(IP)権は非常に単純です。従業員は、就業時間内に企業の備品を使用し、オフィス内で業務を行い、その成果物は企業に帰属します。 

こうした従来の構造により、企業は知的財産権や発明権に対する申し立てのほとんどを免れることができますが、リモートワークが新たな問題を引き起こしていることで、その仕組みは変化しています。 

だからと言って、企業は他国での人材雇用を避けるべきだというわけではありません。グローバルな労働力は、企業の競争力維持に役立つからです。しかし、グローバルチームを成長させながら、不必要なリスクを回避する必要はあります。

Remoteは、数十か国に従業員を擁する企業が社内外の脆弱性から自社の知的財産を保護できるよう、サポートを提供しています。国際法の課題に着目し、 Remoteが提供する業界トップクラスの知的財産権・発明権保護について詳しくご説明します。

知的財産とは 

知的財産(IP)の正式な定義は、「精神的創作物」すなわち無形資産です。 

知的財産は企業が物理的に所有できる財産ではありませんが、それでも企業の成功に極めて重要な役割を果たしています。 

知的財産を法律で保護することで、本人の同意がなければ、他者はそのアイデアを使用できなくなります。競合他社からの侵害に加え、従業員が業務上知り得た情報を盗用することも、脅威になり得ます。 

知的財産の保護とは、新しい知的財産が企業に適切に譲渡され、企業がその知的財産を管理し、法的な保護を受け、確実に利用できるようにすることです。

世界規模で見れば、知的財産保護の法的枠組みを整備することは、企業が新しいアイデアを創出する動機付けとなり、イノベーションの促進につながります。

知的財産の種類

知的財産の主な種類は以下のとおりです。

  • 特許権

  • 商標権

  • 著作権

  • 営業秘密

A lightbulb representing the types of IP protection

たとえば、ある企業が新商品の名称を考案した場合、商標登録をすることで、競合他社による同じ名称の使用を防ぐことができます。あるいは、ソフトウェアエンジニアがアプリケーションを開発した場合、ソフトウェア特許を申請して、大企業による模倣を防ぐことができます。

グローバルチームにとって知的財産の保護が重要な理由

全従業員が同じ場所で勤務している場合、知的財産の保護は比較的簡単です。しかし、グローバルに事業を展開している場合や、リモートチームのメンバーがそれぞれ在宅勤務をしている場合には、状況は複雑になります。

グローバルな規則

従業員は、知的財産に関する明確なガイドラインが策定された国で就労している場合もあります。一部の国では他国よりも規則が緩やかで、企業が独占権を譲渡する方法にも相違があります。

たとえば、知的財産法において企業を優先する国もあれば、契約社員や従業員に所有権を認める国もあります。言い換えれば、従業員が雇用主の下で就労している間に発案した場合、従業員はその権利を取得できる可能性があるということです。

データへのアクセス

その他に、データ保護が手薄になりかねないことも問題です。リモートワークの場合、従業員は自宅のネットワークやデバイス経由でクラウドから社内のデータや情報にアクセスします。このため、情報はハッカーやフィッシング詐欺師に狙われやすくなります。 

残念ながら、たった一人の従業員が公衆ネットワークを利用してデータセキュリティ侵害に遭うだけで、企業全体が機能不全に陥ってしまうのです。

知的財産保護が不十分な場合の危険性

ある国で企業が採用している知的財産戦略が、別の国では通用しないこともあります。他国の法律を理解し、尊重し、従わなければ、企業の知的財産権や発明権が保護されなくなるおそれがあります。

保護されなくなると、小さな問題から深刻な問題まで、さまざまな問題が発生する可能性があるのです。

取引の喪失

セキュリティはこれまで以上に重視されています。潜在的なパートナーは、強固な保護対策を実施している企業との提携を望んでいます。もし企業が、潜在顧客に対して有言実行を(将来にわたって貫くと)確約できなければ、大きな取引を失うことになりかねません。

一方、知的財産保護の戦略的アプローチは、市場シェアを拡大し、新たな収益源を構築し、業界で継続的なイノベーションを促進するうえで役立ちます。

監査不合格

規制当局の査察を受けることがあるなら、知的財産権や発明権をしっかり管理しておく必要があります。

売却やIPOのような流動性イベントは、多くの場合、企業が知的財産を保護しているかどうかを調査する監査につながります。知的財産を保護できていないと、後に株主に関わる問題に発展する可能性があります。そのため、株主は、現時点で企業が適切な手続きを踏んでいると確認することで、自分自身を保護したいと考えるのです。

Company fails an audit

風評被害

不祥事があったとして報道されたい企業はありません。企業が知的財産を盗用したという従業員や契約社員からの告発は、間違いなく不祥事です。しかし、適切な保護策を講じることで、問題が悪化して風評被害が生じる前に、穏便に解決できます。

たとえば、2019年、CNEXはファーウェイが企業秘密を盗用したとして提訴しました。権利侵害の疑いが生じたことで、米国におけるファーウェイの信用は低下し、現在もファーウェイのイメージを損ねています。

訴訟

国外のリモートワーカーに関する適切な保護対策を取らなければ、自社の知的財産を守るために他国の裁判制度で争うことになり、多額の費用がかかる訴訟に巻き込まれることになりかねません。このような場合に勝訴することは、特に創造に関する法律において企業よりも創造者が優遇されている国では困難です。

上記のファーウェイとCNEXの例では、営業秘密に関わる争いは、多額の訴訟費用と多大な風評被害を伴うことになりました。

知的財産の喪失

一部の国では、知的財産権は委託者ではなく創作者に帰属します。そのため、企業が国際契約社員と提携している場合、その著作物の知的財産権は、(厳密に権利を定義した契約書がなければ)既定で契約社員に帰属する可能性があります。 

雇用契約は契約社員契約よりもまだ安全と言えますが、それでも企業が国外で知的財産権や発明権の保護を失う可能性は残ります。

たとえばオランダでは、従業員が在職中に商標を創作した場合、従業員の名前で商標登録を行うことができます。こうしたことが起きない法域で事業を営む企業にとっては、驚きの事実と言えます。

しかし、最も危険なのは、企業が知的財産権侵害の大きなリスクにさらされていると認識していない場合です。一部のグローバル雇用ソリューション・プロバイダーは第三者を利用し、顧客の知的財産を複数拠点間で受け渡しています。 

パートナーシップ主体のグローバル雇用ソリューションに対して、所有法人グローバル雇用ソリューションが明確な競争力を発揮するのはこの点です。

Leaky pipeline illustration

知的財産保護が最も重要な分野

どのような企業がリモートワーカーの知的財産権と発明権に配慮すべきなのでしょうか。

簡単に言えば、すべての企業です。海外に労働者がいる場合、知的財産権や発明権の保護に注意する必要があります。自社には大して知的財産は存在しないと考えていても、実際には存在しています。たとえば、自社のブランドは、知的財産に該当します。

あらゆる規模の企業がこれまでになく国際的な労働者を雇用しやすくなっている現在、どのスタートアップも設立当初から知的財産保護に真剣に取り組む必要があります。これが将来の大きな問題を回避することにつながるためです。

しかし、その業界特有の市場条件や特性から、知的財産権に特別な注意を払うべき企業も存在します。以下にこうした企業の分野を挙げます。

IP protection infographic

技術

技術系企業の知的財産権と発明権は複雑化しがちです。多くの国では、多種多様な技術知的財産や創出方法を考慮できる適切な規制が整備されていません。外国人エンジニア、プログラマー、プロダクトマネージャー、その他の技術系人材を採用している企業は、特に注意する必要があります。

金融

規制の厳しい業界では、あらゆる面で最高水準の保護が求められます。金融業界では、多くの場合、新規顧客と取引する企業は、知的財産の保護水準を含む内部監査を受けます。

エネルギー

発明権は、エネルギー企業にとって特に重要です。企業に帰属する場合と従業員に帰属する場合の線引きをしっかり行うことで、企業は多額の費用がかかる訴訟やマイナスイメージを伴う報道を回避できます。

製造

製造業では、あらゆる機械にさまざまな種類の知的財産や保護された発明が含まれています。製造企業は産業スパイを防ぐために細心の注意を払っていますが、それと同じように、知的財産を守るあらゆる予防措置を講じる必要があります。

スタートアップ

スタートアップは、発明権と知的財産に関して特に注意する必要があります。買収やIPOのような流動性イベントを視野に入れているスタートアップ企業にとっては、これは二重の意味を持っています。

このような場合のデューデリジェンスでは、知的財産の保護だけでなく、従業員や契約社員との関係も評価する必要があります。IPOを控えたスタートアップが最も避けるべきことは、創造物の所有権の帰属先が不明瞭なことです。

グローバルチームの知的財産保護に役立つ4つのヒント

知的財産権や発明権を保護しないと、問題が生じます。一方、これらの権利を適切に保護することで、自社を損害から守ると同時に、自信を持ってグローバルチームを成長させることができます。

以下のヒントは、次の段階に進むうえで参考になるでしょう。

1. 速やかに知的財産を登録する

知的財産を早めに登録するほど、著作権を侵害行為から守りやすくなります。他者が知的財産を利用する前に自社が登録したことを証明できるため、所有権の帰属先が明確になります。

米国では、保護対象の重要な資産の種類に応じて、米国特許商標庁または米国著作権局を通じて知的財産を登録することができます。他国にも同等の機関が存在しています。

ほとんどの国では登録は義務付けられていないため、知的財産を登録しなくても、所有権を失うわけではありません。しかし、法的措置を取らなければならなくなった場合に有益な書類が得られます。

また、世界貿易機関(WTO)では、知的財産権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)を管理しており、加盟国の最低基準が定められています。

同様に、世界知的所有権機関(WIPO)では、複数の国にまたがる特許協力条約(PCT)を管理しています。

2. 従業員に秘密保持契約を結ぶよう求める

米国人労働者全体の約1/3が、機密保持契約や専有情報契約とも呼ばれる秘密保持契約(NDA)を結んでいます。こうした契約は、業務に携わる(かつ知的財産に触れる)相手に、情報の機密保持に法的に同意してもらううえで有効です。知的財産を自ら利用することもなければ、競合他社に渡すこともありません。

NDAは通常、従業員と締結するものですが、フリーランサー、契約社員、合弁事業のパートナーにも必ず締結してもらいましょう。

なお、NDAには記載どおりの効力しかありません。必ず専門家に法的助言を求め、契約書の内容に万全を期してください。

3. サイバーセキュリティにしっかり対応する

多くの企業にとって、サイバーセキュリティは一層重視されつつあります。実際、サイバー犯罪はコロナ禍以降、2倍以上に増加しています。前述のように、従業員が自前の端末を使用することでさらなるセキュリティリスクにさらされるため、サイバーセキュリティはグローバルチームにとって特に重要です。

Rising cybercrime

潜在的なリスクを軽減し、知的財産を保護するには、企業は自社のセキュリティシステムの脅威と弱点を把握する必要があります。その有効策の1つが、データセキュリティプロセス、特にファイアウォールや暗号化に対して定期的な監査を実施することです。

また、知的財産権保護とサイバーセキュリティプロトコルについて従業員教育を行い、全員が同じ認識を共有し、サイバー保護に関わる文化を醸成することも有効です。理想的には、これをオンボーディングプロセスの一環として行う必要があります。

また、デバイスやプログラムを常に最新の状態に保つことで、高度なセキュリティを確保することもできます。

4. リモートワークポリシーを策定する

リモートワークポリシーは、リモートワークを行う従業員に対する企業の期待事項をまとめたものです。これには、企業データへのアクセスやデバイスの安全確保に関するガイダンスも含まれます。 

従業員が最新の情報のみにアクセスできるよう、リモートワークポリシーを継続的に見直し、更新することが重要です。

こうしたポリシーの策定は手間がかかりそうですが、 Remoteのような企業がサポートできます。以下にその方法をご紹介します。

Remoteによる知的財産権と発明権の保護

Remoteは、業界トップレベルの安全性と信頼性で知的財産権および発明権を保護しています。実際、国際的な従業員から企業に直接知的財産を移転するよりも高い水準の保護を提供できます。

奇妙に聞こえるかもしれませんが、国によって知的財産の国内外への移転に関する法律が異なるため、こうしたことが可能なのです。以下に、企業の知的財産を最大限に保護する方法をご紹介します。

Remote IPガードで世界中に存在する企業の知的財産を保護する方法についてご覧ください。

自社の現地法人を所有している

グローバル雇用ソリューションプロバイダーの中には、自社の現地法人を所有していない企業もあります。代わりに、パートナーを利用して業務を代行してもらうのです。このモデルは顧客にとって割高になるだけでなく、知的財産が最終的に顧客の手元に届くまでに複数の関係者を経由することになります。こうして企業の知的財産が移動するたびに、不必要なリスクにさらされることになるのです。

Remoteは、グローバル雇用サービスを提供するすべての国で、現地法人を所有しています。つまり、企業の知的財産の管理を仲介業者に委ねることは一切ありません。当社は企業のグローバル雇用パートナーとして、直接サービスを提供しています。

Map showing global IP protection

堅牢な2段階の知的財産移転プロセスを採用している

グローバル雇用ソリューションプロバイダーとして、当社はさまざまなサービスを提供しています。時には、企業の現地法人のグローバル給与処理を行うこともあります。その他にも、当社の現地法人が企業に代わって労働者を雇用することで、企業は高額な諸経費をかけずに世界中で雇用できます。

企業に代わって当社が労働者を雇用する場合、当社は2段階のアプローチで従業員から企業に知的財産を移転します。まず、国別の雇用契約に従い、従業員からRemoteへ知的財産を移転します。次に、知的財産権を企業に移転します。知的財産権および発明権に関する法律の国際的な専門家として、当社は毎回、知的財産の移転に最大限の保護を保証します。知的財産は初めから企業に帰属しており、当社の業界トップクラスのサービスにより、企業は適法かつ容易に知的財産を受け渡しできます。

各国の現地法に基づき、最大限の保護を提供する

自社に国際的な知的財産法の専門知識がなくても、国際雇用は可能です。当社があらゆる面でサポートし、従業員が就労するすべての国で最高水準の保護を提供します。Remoteの現地法律専門家チームが、適用されるすべての現地法に準拠した従業員契約書を作成するため、安心してお任せいただけます。

従業員が新しい国に移住した場合はどうなるのでしょうか。問題はありません。その場合も当社が対応します。当社は自社の現地法人を所有しているため、法律専門家による国際的なネットワークがあり、終始一貫したサポート体制が整っています。グローバルなインフラの活用と現地法務チームの的確な対応、これがRemoteならではの強みです。

Remoteを利用して知的財産とグローバルチームを保護

Remoteのグローバル雇用ソリューションには、給与処理、福利厚生、税金、コンプライアンスなどが含まれ、あらゆる規模の企業が世界中で優秀な人材を雇用できるよう支援します。企業の知的財産権と発明権を他社よりも高度に保護し、グローバルチームにトップクラスの体験を提供します。

すぐにRemoteにお問い合わせいただければ、Remoteが提供するグローバルチームの成長成長支援について詳しくご説明いたします。

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