現代の働く親は、それぞれの家庭特有のプレッシャーに直面している
世界中で、働く親は仕事と育児の両立という難題と格闘しています。職場復帰の義務化、インフレ率の上昇、世界的な生活費の高騰の中、育児による経済的・精神的負担は、これまでになく家庭に重くのしかかっています。
これを受けて、 Remoteは、米国、英国、フランス、ドイツ、スウェーデン、オランダ、スペイン、フィンランド、ベルギー、シンガポール、オーストラリア、香港、韓国の13地域で13,850人の働く親を対象にグローバル調査を実施しました。調査目的は、職場で直面するそれぞれの家庭ならではの課題と、世界各国の企業がこうした家庭のニーズを十分にサポートできる方法を探ることです。回答者全員がいわゆる「事務職者」であり、5歳未満の子どもが1人以上います。各地域の回答者の勤務形態は、完全リモートワーク、ハイブリッドワーク、出社勤務と均等に分かれました。
世界の育児休暇制度の調査結果
当社の調査結果からは、完全リモート、ハイブリッド、完全出社といった勤務形態が、家計、就職先の決定、全体的なワークライフバランスに及ぼす影響には、地域ごとに大きな差があることが明らかになりました。また、働く親が職場で活躍できる機会をもたらすために、雇用主や地域社会が最大限に関与できる分野についても詳しく解説します。
地域別の詳細な調査結果
各国の調査結果を詳しく確認することで、各国や各地域の働く親にとって最も有益な福利厚生と最大のコストについて把握できます。ソウルやシドニーなど、地域の労働条件と世界的な傾向との比較や、働く親支援の実効性を高めるために講じるべき対策についてご覧ください。
韓国における働く親の分析
韓国では、仕事と育児の両立は、働く親にとって依然として大きな課題となっています。Remoteがホワイトカラー労働者1,005人を対象に実施した調査からは、こうした課題や、フレックス勤務の必要性が明らかになりました。
韓国の働く親にとって、柔軟な勤務形態は単なる嗜好ではなく、育児、学業、その他の家事を両立できるようにする、仕事を継続するうえで極めて重要な要素となっています。
全体の44%が、フレックス勤務が仕事を続けるかどうかの決断に重要であると回答しています。
ワークライフバランスへの満足度は、リモート勤務者が65%と最も高く、ハイブリッド勤務者は58%、出社勤務者は49%にとどまっています。
ほぼ4人に3人の親(72%)が、職場復帰方針によってワークライフバランスがマイナスの影響を受けたと感じたことがあると回答しており、職場復帰方針が原因で転職した人の割合は、女性が32%であるのに対し、男性は37%とやや高くなりました。
経済的負担は、働く親にとって人生の重要な決断に影響を及ぼしています。
58%の親が、柔軟な働き方ができずに育児に影響することから、退職を考えたことがあると回答しています。
特に女性には影響が大きく、35%が育児に対応するために勤務時間を短縮する可能性があると回答しましたが、これに対して男性は25%でした。
経済的に大きな負担がかからずに、仕事と家庭を両立できると回答したのはリモート勤務者が最多で、保育費を調整する必要があると回答したのはわずか28%でしたが、これに対して出社勤務者は45%でした。
保育費は働く親にとって重要な問題です。
全回答者の36%が主に保育費を賄うために働いているのに対し、保育費が仕事の原動力となっている割合は、リモート勤務者では30%、ハイブリッド勤務者では35%、出社勤務者では40%であったことから、リモートワークの方がキャリア目標の達成と保育費の確保を両立させやすいことが示唆されました。
男性の39%と女性の34%が、主に保育費を賄うために働いており、これは母親と父親が育児に対する経済的責任を共有していることを示しています。
香港における働く親の分析
Remote が香港の働く親1,002人を対象に実施した調査では、仕事と育児を両立できるフレックス勤務に対する大きなニーズが明らかになりました。報告書によると、ハイブリッドワークやリモートワークのようなフレックス勤務は、香港の働く親にとって、仕事の将来性や10%の昇給よりも高く評価されています。その他の調査結果は次のとおりです。
柔軟な働き方への支援
働く親の実に86%が、完全リモートワークが精神衛生に最も良い影響を与えると回答しており、74%がハイブリッドワークも良い影響を与えると考えています。しかし、87%近くが、職場がフレックス勤務制度を導入しているにもかかわらず、「偽の柔軟性」を提示されている(つまり実際には利用できない)と感じると回答しています。働く親の43%以上が、フレックス勤務を求めると失業につながるのではないかと不安を感じており、雇用主によるフレックス勤務制度の実施と受け入れの改善が必要であることが明らかになりました。
実施における課題:
回答者の42.1%が雇用主はフレックス勤務を導入していると回答しているにもかかわらず、88.9%が働く親であることを理由に昇進やその他の機会を逃したと感じています。さらに、87.6%が、手頃な価格の保育所が利用できないために、退職を考えたことがあると回答しています。
就業先の選択に対する影響:
育児による経済的・精神的負担は明らかで、88.8%が、手頃な価格の保育所が利用できないために、減給や労働時間の短縮を余儀なくされたことがあると回答しています。さらに、働く親の87%が、子どもの世話のために休暇を申請する際に罪悪感や不安を覚えていると回答しています。
シンガポールにおける働く親の分析
Remoteがシンガポールの働く親1,000人を対象に行った調査では、フレックス勤務が家族計画やワークライフバランスに与える影響が明らかになりました。シンガポールにおける史上最低水準の出生率が国家的な問題となっている中、働く親の89.7%は、フレックス勤務ができれば、さらに子供を持つ可能性が高まると回答しています。政府が『フレックス勤務(FWAs)における三者ガイドライン』を年内に実施する準備を進めている中、働く親を支援し、出生率を向上するうえで雇用主が果たす役割は、これまで以上に極めて重要です。その他の調査結果は次のとおりです。
柔軟な働き方への支援
ほぼ10人に9人の親が、フレックス勤務が提供されれば、さらに子供を持つことを検討すると回答しており、この調査からは、従業員の家族計画の決定において雇用主が重要な役割を果たしていることが明らかになっています。また、働く親の81%が、仕事と育児の両立には、フレックスタイム、リモートワーク、ハイブリッドワークが最も有用であると回答しています。
実施における課題
回答者の56.4%は、フレックス勤務を希望すると雇用主は受け入れたと回答しましたが、82.1%は 「偽の柔軟性 」を提供された(実際には利用できなかった)と感じていると回答しています。これは、政策と実施の間に乖離があることを示しており、フレックス勤務制度の実施を改善する必要性が明らかになりました。
就業先の選択に対する影響
育児にかかる経済的・精神的負担の大きさから、82.8%が、手頃な価格の保育所が利用できないために、退職を検討していると回答しています。さらに、87.3%が、出社日数が増えるなら退職を検討すると回答しており、人材確保における柔軟な働き方の重要性が強く示されています。
オーストラリアにおける働く親の分析
Remoteがオーストラリアの働く親1,009人を対象に実施した調査では、特に女性にとって、仕事復帰と保育料の捻出が経済的にも精神的にも負担になっていることが明らかになりました。このような課題を踏まえて、労働者は雇用主に対して柔軟性の向上を求めており、働く親の81%が、出社日数が増えれば退職を検討すると回答しています。
回答者の70%が、家庭内で母親が育児の責任を担う役割が大きくなっていることに同意しており、こうした感覚が強くなることで、罪悪感や不安が大きくなり、92%の女性が復職時にこうした感情があると回答しましたが、これに対して男性は77%でした。さらに、55%の男性が、手頃な価格の保育所が利用できないために、パートナーに退職や退職の検討をすすめたと回答しましたが、これに対して女性は39%でした。こうした経済的負担のために、多くの場合は女性が大きな犠牲を強いられています。適切な保育所が利用できないために、61%が減給や勤務時間を短縮したことがあると回答しましたが、これに対して男性は47%でした。
その他の調査結果は次のとおりです。
育児の経済的負担: 働く親の69%が、出社日数が増えるなど勤務形態が変われば、保育費が増えると回答しています。ほぼ70%の親が、保育費を捻出するために他の支出をすでに削減していると回答しています。調査では、57%が、保育料を賄うために不満があっても仕事を続けたことがあると回答しています。
ワークライフバランス: ワークライフバランスは、給与(53%)に次いで、働く親が転職先を探す際に最も重視する点です(47%)。働く親の約3/4(74%)が、育児のために休暇を申請する際に罪悪感や不安を覚えたことがあると回答しています。
今回の調査では、職場復帰の方針が及ぼす影響も明らかになっており、働く親の52%が、コロナ禍後の勤務先の職場復帰方針が不公平だと感じていると回答しています。また、回答者の81%が、出社日数が増えれば退職を検討すると回答しています。
ベルギーにおける働く親の分析
ベルギーの働く親は、ますますフレックス勤務を求めるようになっていますが、当社の調査では、働く親は、企業はこうしたニーズへの対応が遅いと回答しています。ベルギーの多くの企業が労働力を拡大するために新たな人材を求める中、リモートワークへのサポート不足が依然として課題となっています。
Remoteがベルギーの働く親617人を対象に行った調査によると、71%が、リモートワークの選択が厳しくなれば退職を検討すると回答しています。このことから、親が仕事と家事を両立できる、柔軟な勤務制度の整備が急務であることが明確になりました。
今回の調査から、ベルギーの働く親が直面している経済的・物理的負担が明らかになりました。保育所、送迎、ベビーシッターなどの育児に関する出費は、平均して週に約700ユーロとなっています。これは、他国(近隣のフランスでは週平均492ユーロ)よりも際立って高額です。
その他の調査結果は次のとおりです。
職場復帰方針の影響: 73%の親が、勤務時間中に育児の管理を行う負担から、退職を考えたり、パートナーに退職をすすめたりしたことがあると回答しています。
職場での評価の低下: 親の2/3以上(77%)が、子どもの病気や保育所の休園などで急に休んだことで、職場で叱責されたり、不当な評価を受けたりしたことがあると回答しています。
バランスの模索: 82%の親が、家族との時間、育児費用、仕事との間で適切なバランスを取れるよう、勤務時間の短縮を考えていると回答しています。
これらの調査結果からは、ベルギーの働く親を支援するには、ワークライフバランス改善策の整備が急務であることがわかります。回答者のうち、現在の育児環境に十分に満足しているのはわずか26%であり、より柔軟な働き方が求められていることが明らかになりました。
フィンランドにおける働く親の分析
フィンランドの企業は慢性的な技能労働者不足を抱えており、働く親への支援を充実させることが解決策になる可能性があります。しかし、Remoteがフィンランドの親601人を対象に実施した調査では、仕事と家庭生活の両立が負担になっていることが明らかになりました。
大半の親(80%)が、育児のために休暇を申請する際に罪悪感や不安を覚えたことがあると回答しています。多くの場合、これには正当な理由があると言えます。55%が、働く親であることを理由に差別されたと感じたり、職場で昇進や活躍の機会を逃したと思ったことがあると回答しています。
その他の調査結果は次のとおりです。
コスト増と減給: 75%の親が、保育所が利用できないために減給や勤務時間を短縮したことがあると回答しています。同率の親が、出社日数が増えればコストがさらに増えると考えています。
職場での差別: 55%の親が、差別されたり、昇進を逃したと感じており、74%が、子どもの世話のために急に休んだたことで不当な評価を受けたりしたことがあると回答しています。
職場復帰方針によるマイナスの影響: 77%の親が、雇用主が実施したコロナ禍後の職場復帰方針によってマイナスの影響を受けたことがあると回答し、70%以上が、出社日数が増えるなら退職を検討すると回答しています。
こうした課題はあるものの、回答者の87%は、育児への対応に欠かせない柔軟な働き方に対して雇用主の支援があると認めています。しかし、調査では、働く親を支援する法規制の必要性が明らかになっており、82%が法規制の改善を求めています。
フランスにおける働く親の分析
働く親を支援する政府の努力が続いているにもかかわらず、フランスでは多くの親が高い保育費と柔軟性のない勤務制度に苦慮しています。Remoteが1,002人の働く母親と父親を対象に行った調査では、仕事と家庭生活の両立を促進する改革の必要性が明らかになりました。育児の経済的負担はフランスの働く親が直面する大きな問題であり、保育所、送迎、ベビーシッターなどの関連出費は週平均493ユーロに上ります。この出費により、多くの家庭は経済的に難しい選択を迫られることになり、生活の質全体に影響を及ぼしています。調査では、74%の親が保育料を捻出するために医療費、食費、光熱費などの必要経費を削減したと回答しています。さらに、80%が、出社勤務が増えれば、保育費はさらに上昇すると回答しています。
その他の調査結果は次のとおりです。
職場の方針が家庭生活に与える影響: 71%の親が、強制的な職場復帰方針によってマイナスの影響を受けたことがあると回答しています。ほぼ同数の親(70.5%)が、育児のためにパートナーに退職をすすめたことがあると回答し、64.5%が自分自身の退職を考えたことがあると回答しています。
柔軟性の必要性と差別に対する懸念: 73%の親が、雇用主にフレックス勤務の希望を提出しています。さらに、半数以上の親が、親であることを理由に差別されたり、昇進を逃したりしたと感じたことがあると回答しています。
また、86%の回答者が、働く親を支援するには、さらに包括的な法律や規制が必要だと考えており、81%が、政府は保育施設への資金援助や補助金制度をもっと充実させるべきだと考えていることも明らかになりました。
ドイツにおける働く親の分析
ドイツでは、国内の技能労働者不足に対処するパートタイムやフレックスタイムといった労働モデルの役割について、現在も議論や政策の策定が行われていますが、多くの働く親にとって、現実はそれとは異なります。ドイツの働く親1,507人を対象としたRemoteの調査からは、さらに大きな支援の必要性が明らかになりました。根強い「偽の柔軟性」
本調査では、回答者の84%が、雇用主は、勤務日に合わせて育児できる柔軟な働き方をサポートしていると感じていますが、さらに詳しく調査すると、実態とは大きな隔たりがあることがわかりました。
ドイツの親の71%が、雇用主からリモートワークやフレックスタイム制を提示されたものの、実際には利用できなかったなどという「偽の柔軟性」を経験したことがあると回答している。
79%が、働く親であることを理由に昇進や職場で活躍する機会を逃していると感じている。
76%が職場復帰方針によってマイナスの影響を受けており、92%が、さらに頻繁に職場復帰を強いられた場合には転職を検討すると回答している。
76%が、育児のために休暇を申請する際に罪悪感や不安を覚えている。
69%が、病気をした子どもの世話や保育所の休園などで急に休んだことで、叱責されたり、不当な評価を受けたりしたことがある。
さらに、回答者の70%が、育児を理由にパートナーに退職や勤務時間の短縮をすすめたことがあり、76%が同じ理由で自分も減給や勤務時間の短縮をしたことがある。
柔軟性は今や働く親の最優先事項
現在の働く親は、職場を選ぶ際に柔軟性を重視する傾向があります。
フレックスタイム制(35%)
雇用の安定(28%)
給与(28%)
保育サービス/育児手当(26.4%)
リモートワーク制度(26.1%)
行政や政策のニーズ
生後12ヵ月以降の保育を保証する近年の取り組みにもかかわらず、多くの親は依然として適切な保育所の確保に苦慮しています。調査では、70%の親がパートナーに退職をすすめ、76%が減給または勤務時間を短縮し、78%が政府は保育施設の質を高め、設置数を増やすなどの支援にさらに努力すべきだと回答しています。さらに、83%が、働く親のために柔軟な働き方を可能にする法律の制定を希望しています。
オランダにおける働く親の分析
オランダの多くの企業が新しい人材の発掘や労働力の拡大に意欲的に取り組んでいますが、Remoteが1,007人を対象に行った調査では、働く親が労働力として参加することに課題を抱えていることが明らかになりました。調査では、オランダの親の71%以上が、リモートワークの選択が厳しくなれば退職を検討すると回答し、19%近くがフレックス勤務を希望すると難色を示されたと回答しています。今回の調査では、76%の働く親が、家族との時間、保育費、仕事との間で適切なバランスを取れるよう、勤務時間の短縮を考えていると回答しています。
他の多くの国と同様、オランダの親も育児の経済的負担が自分の直面している大きな問題であると回答しており、その支出は週平均723ユーロに達しています。これは、週平均支出が492ユーロであるフランスなどの他国に比べてかなり高額です。
その他の調査結果は次のとおりです。
職場復帰方針の影響: 65%の働く親が、職場復帰方針による負担が増えたことから、退職を考えたり、パートナーに退職をすすめたりしたことがあると回答しています。
職場での評価の低下: 68%の親が、子どもの病気や保育所の休園などで急に休んだことで、職場で叱責されたり、不当な評価を受けたりしたことがあると回答しています。
回答者のうち、現在の保育制度に十分満足しているのはわずか28%で、大半は改善や大幅な変更を求めています。柔軟な働き方は、就職先を選ぶ際に給与の次に重視される要素です。男性は雇用の安定と通勤時間の長さを重視しますが、女性は柔軟性をより重視しています。
スペインにおける働く親の分析
Remoteがスペインの働く親1,002人を対象に行った調査では、フレックスタイム制やリモートワークの制度が、報酬と並んで優先すべき重要な雇用条件となっていることが明らかになりました。こうした意識の転換は、ワークライフバランスモデルにおける広範な変化を反映しており、柔軟性は多くの人にとって譲れない条件となりつつあります。
スペインで働く親が就職先を選ぶ際、42.42%がフレックスタイム制を最も重視しており、次いで41.82%が給与を、25.75%がリモートワーク制度を重視しています。勤務時間の柔軟性は、リモートワークそのものよりも重視されるようになっており、単に働く場所を選べるという柔軟性よりも、スケジュールに柔軟性があることが強く好まれています。柔軟な働き方は非常に重視されており、49.47%が、出社日数が増えた場合は退職を検討すると回答しています。注目すべきは、19.41%が、転職先が決まっていなくても退職を考えていることです。このことから、仕事における柔軟性の重要性が明確にわかります。
その他の調査結果は次のとおりです。
柔軟な働き方への支援: スペインの労働者の80.24%が、企業が柔軟な働き方を全面的に支援しており、勤務時間に合わせて育児を行うために必要な支援を行っていると回答しています。フレックスタイム制を利用している働く親のうち、27.45%が、家事との両立がしやすくなったと回答し、27.15%が、子どもが必要としているときにそばにいられることで、いい親になることができていると感じています。
フレックス勤務を提案した場合の受け入れ: 回答者の68%以上が、フレックス勤務を雇用主に提案したことがありますが、その勤務形態が受け入れられたと回答したのは43%のみでした。
現行の規制は働く親の支援を目的としていますが、回答者の84.23%は、国レベルで柔軟な働き方に関する法律や規制をもっと整備するべきだと考えています。さらに、74.15%が、育児支援はあるが、利用するのは依然として困難であると回答しています。
スウェーデンにおける働く親の分析
職場復帰の義務化が進み、より柔軟な対応を求める意見が増えるにつれ、スウェーデンの働く親は仕事と家庭生活の両立という大きな課題に直面しています。Remoteがスウェーデンの働く親602人を対象に行った調査では、柔軟な労働条件の重要性と、柔軟性のなさが働く親の日常生活に与える影響が明らかになりました。
調査では、80%の親が育児と仕事の両立のために減給や勤務時間の短縮を受け入れたことがあると回答し、83%が勤務時間を8割に短縮することを検討したことがあると回答しています。スウェーデンは保育料が比較的低いにもかかわらず、柔軟性のない勤務制度や雇用主の否定的な態度が、親の心の健康やキャリアアップに大きな影響を与えています。その他の調査結果は次のとおりです。
心の健康への影響: 80.56%が、育児のために休暇を申請する際に罪悪感や不安を覚え、79.40%が、病気をした子どもの世話のために急に休んだことで叱責された経験があると回答しています。
差別の経験: 71.43%の親が、親であることを理由に差別されたり、昇進を逃したりしたと感じたことがあると回答しています。
職場復帰方針: 80%が職場復帰の義務化によってマイナスの影響を受けたことがあると回答しており、約80%(79.40%)が「偽の柔軟性」、つまりリモートワークやフレックスタイム制提示されたものの、実際には利用できなかったと回答しています。
回答者のほぼ70%が、現在の職場環境はわずかな調整で改善できると考えており、多くの親にとって、柔軟な働き方が最優先事項となっています。また、82.39%の親が、柔軟な働き方を支援するには法律や規制をもっと整備するべきだと考えており、78.57%が、フレックス勤務の希望を提出し、そのほとんどが受け入れられていることも明らかになりました。
フィンランド、フランス、イギリス、ドイツ、オランダ、アメリカなどの他の国々では、手厚い育児休暇制度が求職活動における優先事項の上位に挙げられており、回答者の15%~26%が求職活動においてこれらの選択肢を最も重視しています。しかし、スウェーデンでは、この選択肢の0%の支持を受けています。
英国における働く親の分析
英国が拡大し続ける技能労働者不足に悩む中、働く親は、極めて重要でありながらも十分に活用されていない人材です。しかし、Remoteが1,501人の働く母親と父親を対象に実施した調査では、政府の取り組みにもかかわらず、英国の働く親は依然として十分に労働参加できていないことが明らかになりました。
英国で働く親の2/3以上(70%)が、手頃な価格の保育所が利用できないために退職したか、退職を検討していると回答しています。経済的負担は大きな懸念材料です。働く親の半数以上が保育料として毎月1600ポンド以上を支出していると回答しており、これは英国の平均家賃よりも25%高額です。
その他の調査結果は次のとおりです。
仕事への不満と負担: 73%が、保育料の高騰のために減給や時短勤務を選択し、70%が、保育料を賄うために不満があっても仕事を続けたことがあると回答しています。
職場での不利益: 働く親の63%が、子どもの病気のために急に休んだことが原因で、職場で叱責されたり、不当な評価を受けたりしたことがあると回答しています。回答者の3/4が、育児のために休暇を取ることに罪悪感や不安を覚えており、働く父親(68%)よりも働く母親(78%)の方が、育児関連の理由で急に欠勤した場合に罪悪感を覚える傾向が強くなっています。
Flexible Work Act法が4月に新しく施行されたにもかかわらず、実際にはフレックスタイム制やリモートワークが利用できないという実態は、働く親にも影響を及ぼしています。調査では、働く親の65%が、職場で「偽の柔軟性」を提示され、想定外の保育費が発生したと回答しています。職場復帰の義務化は特に問題で、働く親の73%が、出社日数が増えれば保育費がさらに増加するのではないかという不安を抱いています。
働く親が就職先を検討する際に、37%がフレックスタイム制を最も重視しており、35%が給与、25%が雇用の安定を重視しています。
米国における働く親の分析
米国では、リモートワークやハイブリッドワークなどの魅力的で柔軟な働き方によって、働く親がワークライフバランスを確保できる新しい時代が到来しようとしています。しかし、Remoteが全国の働く親2,001人を対象に実施した調査では、実態は異なっていました。インフレ率の上昇と生活費の高騰の中で、幼い子どもを抱えて仕事をこなすことは、たとえある程度働き方に柔軟性があったとしても、決して簡単ではないことが明らかになっています。
ハイブリッドワークの期待と現実
データによると、ハイブリッドワークは、リモートワークと出社勤務を完璧に融合できるものとして注目されていますが、期待に反する場合も多く、実際にハイブリッドワーク中に大きな問題にぶつかっている例もあります。
ワークライフバランスに対する不満は、ハイブリッド勤務者が34%と最も高く、出社勤務者(31%)、リモート勤務者(29%)よりも高くなっています。
ハイブリッド勤務者のほぼ5人に2人(39.8%)が、勤務時間中の保育費が高騰したために勤務時間を短縮したり、減給を受け入れたりせざるを得なかったと回答しており、リモート勤務者の31.3%、出社勤務者の30.6%を上回っています。
ハイブリッド勤務者の21.8%は、育児をしやすくするために在宅勤務の頻度を増やしたいと考えているものの、スケジュールが厳しすぎると感じており、同じ制約を受けている完全出社勤務者の23.2%とほぼ同水準となっています。
仕事の「柔軟性」がもたらす経済的・精神的負担
ほぼ3世帯に1世帯が勤務時間中の保育費に毎週900ドル以上をかけており、親は仕事と家庭生活の両立に伴う経済的・精神的負担に対処するため、難しい選択を迫られています。
ハイブリッドワークで働く親の40%、リモートワークで働く親の38.7%が、勤務時間中の保育料を捻出するために食費、医療費、光熱費などの必要経費を削減したと回答しています。出社勤務者の場合は僅差で36.4%でした。
リモートワークで働く親の38%、ハイブリッドワークで働く親の37%が、育児のためにパートナーに退職をすすめたことがあると回答していますが、出社勤務者でこの回答はあまり多くありません(28.8%)。
柔軟な働き方が確保されているにもかかわらず、リモートワークで働く親の77.9%、ハイブリッドワークで働く親の71.8%が、仕事の都合で週に3日以上、子どもの寝かしつけなど家族との大切な時間を逃していると回答しており、出社勤務で働く親の68.8%を上回っています。
家族計画のプレッシャー: 普遍的な課題
就労形態の違いにもかかわらず、一貫している点が1つだけあります。それは、米国では働く親になることが非常に難しく、出費もかさむという点です。
すべての就労形態において、約5人に1人の親が、高額な保育費を捻出するために、幼児の就学の早期化を検討しており、就労形態にかかわらず共通の課題であることが明らかになりました。
また、4人に1人近くの親が、多忙など仕事の都合を理由に出産を遅らせたり、思いとどまったりしており、その影響はリモートワーカーで最も小さくなっています(リモート勤務の22%に対し、ハイブリッド勤務が25%、出社勤務が27%)。これは、経済的負担にもかかわらず、リモートワークの方が自信を持って仕事と家庭生活を両立できる可能性があることを示しています。
結論
今回の広範な調査から得られたデータにより、世界中で働く親の多様な背景とニーズを考慮した、個人に合わせて調整できる、柔軟性の高い勤務制度の必要性が明らかになりました。Remoteは、各国の共通点と相違点を明確にすることで、対話や制度の変更を促し、世界中の働く親にとって包括的で協力的な職場環境作りを可能にすることを目指しています。