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リモートワークは究極の柔軟性を提供しますが、実は節税にもなることをご存じでしたか。リモートワーカーは、事業経費に対して一定の税額控除を受けることができます。ただし、リモートワーカーの中でこれらの税額控除を受けられるのは特定のタイプに属する方のみです。
この記事では、どのようなタイプのリモートワーカーが控除を申請できるのか、また、税金の還付を最大限に受けるにはどうすればよいかをご説明します。
リモートワーカーは税額控除を受けられるのか
2018年の税制改革以降、一般にリモートワークの税額控除を申請できるのは、自営業者のみとなっています。つまり、リモートで働く従業員は、在宅勤務に関して税額控除を申請できなくなったということです。代わりに、従業員は雇用主に還付を申請しなければなりません。
次に挙げる方はこの法律の例外です。
舞台芸術関係者、政府職員、予備役軍人。
一部の州は、従業員が州の確定申告で払い戻されない経費を控除できる独自の州法を制定しています。
課税年度中にある会社の従業員として在宅勤務した方は、通常、業務に関係するホームオフィス経費を控除できませんが、自営業者の立場で就労していた場合は、ホームオフィス経費を控除できます。つまり、従業員であると同時に、副業として自営業者としても就労していたという場合です。ホームオフィス経費に対する控除は、従業員としての所得ではなく、自営業の課税所得に対して申請しなければなりません。
一言で答えるなら、答えは「いいえ」です。多くの方が企業の従業員としてリモートで働いています。新型コロナウィルス感染拡大の結果、多くの従業員がリモートワークを経験したことに伴い、この働き方はますます一般的になってきました。このような場合、労働者は独立契約者ではなく、リモート従業員として分類されます。
独立契約者とは、役務を提供する個人事業主であり、従業員としては分類されません。自営業者は、事業経費や自宅オフィス外での作業について税額控除を申請することができます。
従業員として働く傍ら副業を営む従業員も、個人事業主としての業務に関して特定の控除を受けられる場合があります。
事業経費について税額控除を申請できるのは個人事業主のみです。リモートで働く方が非常に多いため、内国歳入庁(IRS)は、控除を申請できる人や控除対象となる経費について厳格なガイドラインを定めています。そのため、控除を申告したい経費について正確な記録を残すことが不可欠です。
控除の証明が必要になった場合に備え、書面で記録または記録簿を残しておいてください。また、税に関係する支出については支払記録も残しておくべきです。つまり、クレジットカードの明細書、銀行の取引明細書、小切手、または明細付き領収書などを保存しておくということです。通常、これらの書類はデジタル記録で十分です。現金で支払う場合は、支払先、支払日、金額が記載された領収書を受け取ってください。
在宅勤務の税額控除には、事業経費、用具、光熱費、仕事に関係する食事代と交通費、ホームオフィス控除を含む住宅関連費用を含めることができます。
控除する経費は、事業に直接関連するものでなければなりません。一般的な控除項目には、次に挙げるように、オフィス勤務を採用する企業で通常認められる経費が含まれます。
保険
賃料
光熱費
インターネット
設備・備品(コンピュータ、ソフトウェア、オフィス家具)
修理・保守
住宅減価償却
控除可能な住宅ローン金利
広告およびプロモーション
銀行手数料
所有家屋の減価償却
自営業者の中には、事業用の不動産や設備を購入し、経費として控除する方もいます。IRSによれば、不動産に関する控除は次の条件を満たさなければなりません。
当該不動産が自己の所有であり、収益のためにこれを使用している。
当該不動産を収益のために使用できる期間を推定で提示できる。
当該物件が1年以上使用可能である。当該資産の購入と売却を同じ年に行うことはできません。
自営業者は、条件を満たす事業用設備について最高105万ドルを控除できます。事業用設備には、コンピュータ、プリンター、オフィス家具、紙やインクなどの消耗品が含まれます。
事業のために出張した場合は、納税申告書で移動距離を事業用として控除できます。海外への長距離出張か、市内の短距離移動かは問いません。控除申請には2つの方法があります。実費で控除する方法と、IRSの標準マイレージレートで控除する方法です。
標準マイレージレートを使用する場合は、個人として移動した距離と業務で移動した距離を区分するため、移動距離を記録しておいてください。このレートは、2022年に1マイルあたり58.5セントから62.5セントに引き上げられました。変更が行われるのが常であるため、マイレージレートは毎年確認することをお勧めします。
自動車費用の控除を申請する場合は、自動車関連の経費を全額記録しておくようにしてください。支払い、登録料、保険料、駐車場の賃料、免許、修理・保守、駐車料金、通行料などを含めることができます。航空機、バス、電車などの交通費を支払った場合は、それらも旅費として計上できます。また、レストランでの食事や接待にかかった費用も、事業経費である限り控除が可能です。
教育費はすべて税額控除の対象となる可能性があります。つまり、オンラインまたは大学の講座受講、専門能力開発教材の購入、ライセンス料の支払いにかかった費用はすべて控除の対象となります。業界誌や専門誌の定期購読料や事業団体への寄付金も控除の対象です。
これらは一般に、個人事業主が事業を継続的に成長させるために必要な経費として認められます。仕事や事業の改善を目的として購入した品目は控除できます。購入した教材や講座の領収書は、必要な場合に備えて保存しておいてください。
在宅勤務の場合ホームオフィス控除を申請すると節税できる可能性があります。業務用に小規模なオフィスを借りた場合には、その家賃を事業経費として申告し、課税所得を減らすことができます。ホームオフィス控除も同様です。
自宅の一部が職場であるため、確定申告時に自宅にかかる費用の一部を控除することができます。例えば、住宅ローン金利、固定資産税、住宅所有者保険、公共料金などです。通常は雇用主が負担する事務所スペースの費用をあなたが負担しているので、政府はオームオフィスの維持費を穴埋めできるよう補助するための税額控除を設けています。
一般に、この控除を申請できるのは在宅勤務の独立契約業者または自営業者です。会社の定期的な仕事に加えて副業を営み、その副業のために自宅で仕事をしている場合も、ホームオフィス控除の一部を申請できます。
ホームオフィス控除は自営業者にとって大きな特典です。とはいえ、控除を申請するためには、次に挙げるいくつかの重要な条件を満たさなければなりません。
ホームオフィス控除を受けるためには、そのホームオフィスを自営業のために自分だけが日常的に使用していなければなりません。IRSは、「そのスペースを自分だけが日常的に使用する」の意味を厳格に定義しています。自分だけが使用のルールによれば、そのスペースは自分の自営業の遂行のみを目的として使用することができ、それ以外には使用できません。ホームオフィスを自営業だけでなく、従業員としての仕事でも併用している場合は、そのオフィスの税額控除を申告できません。
自宅、アパート、コンドミニアム、または同様の居住スペースの一部を日常的に事業に使用しなければなりません。自分の敷地内の構造物(独立したスタジオ、納屋、温室、またはガレージなど)も含まれます。
また、ホームオフィスは、事業の主たる場所、または顧客やクライアントと日常的に会う場所でなければなりません。会社の従業員としての仕事とは別に、自営業の仕事のためのスペースがある場合は、自営業のスペースに関わる経費を控除することができますが、従業員として使用するスペースの経費は控除できません。
給与または時給賃金を受け取るリモート勤務の従業員は、たとえ自宅で勤務していても、通常控除を申告できません。この場合、ホームオフィスは、本来であれば雇用主が提供するはずのオフィススペースに代わるものとなります。フォームW-2で源泉徴収税の申告が行われる従業員はオフィススペースの賃料を支払っていないため、ホームオフィスの費用を控除できません。
ただし、州または市町村の職員、教育者、障害者など、特別な事情を有するW-2従業員には、いくつかの例外が認められています。
ホームオフィス税額控除の申請にあたっての注意点をいくつかご紹介します。
ホームオフィスに関して控除できる金額は、自宅全体に占めるワークスペースの大きさによって異なります。最適な方法は状況によります。ある年に適用した方法が、翌年も最適な選択肢であるとは限りません。
ホームオフィス事業の割合を計算する場合は、ホームオフィスを業務に使用した時間を1年の総時間数と比較します。ホームオフィスの使用時間を総時間数で除して、使用可能な時間数に占める割合を求め、その値を自宅スペースのうち業務に使用したスペースに乗じて事業の割合を算出します。
業務用ホームオフィスの控除額を計算する方法は、標準法と簡易法の2つです。業務用に使用した割合の推定値が求められれば、どちらの方法でも控除額を算出できます。控除額が大きいほうの方法を採用してください。
標準法(直接法とも呼ばれます)に控除額の上限はありません。ホームオフィスの控除額をこの方法で求めるためには、修理・保守関連費用を含むホームオフィスの費用全額を記録する必要があります。
この標準法は、次のような場合に適しています。
ホームオフィスが自宅の大部分を占めている場合:業務用スペースが広い部屋、または独立した建物の場合、自宅に占める事業用面積の割合が大きくなります。つまり、標準法による控除額のほうが大きくなるということです。
住宅関連の経費が多い場合:住宅ローン金利、固定資産税、住宅所有者保険料などの支出が大きい場合には、これらの経費に業務使用率を適用すると控除額が大きくなります。
ホームオフィスの税額控除を計算する場合は、ホームオフィスの面積を住居全体の面積で除します。これにより、住居のうちホームオフィスとして使用されている面積の比率が分かります。この比率を住居の経費に乗じると、事業費として計上できる金額が決まります。
例えば、オフィスの面積が150平方フィート、家屋の総面積が1,500平方フィートだとします。ホームオフィスの税金控除を計算するには、150を1,500で除して10%という値を求めます。つまり、業務用の比率は10%です。
ご自宅の全居室がほぼ同じ面積であれば、もっと簡単な方法で控除額を計算できます。その場合は、家屋の総居室数を業務用に使用している部屋の数で除して業務用の比率を算出します。
これは、標準法より簡単にホームオフィス控除額を算出する方法です。オフィス面積1平方フィートあたり5ドルを最大300平方フィートまで経費として申告できます。税額控除を計算する場合は、オフィスの総面積に5ドルを乗じますが、年間1,500ドルの上限があります。
次のような場合は、簡易法が適していると思われます。
ホームオフィスが小さい場合: 業務用のスペースが小さな部屋、あるいはコーナーに置かれたデスクである場合、総面積は小さくなり、標準法では控除額が小さくなります。この場合は、1平方フィート当たりの定額で求めたほうが有利です。
住宅関連支出が少ない場合:住宅ローン金利、固定資産税、住宅所有者保険料が少額の場合、定額で控除額を求めると、標準法による控除額と同程度か、場合によってはそれ以上になる可能性があります。
住宅を所有している方が標準法を選択する場合は、住宅の一部の減価償却を考慮する必要があります。簡易法を使用する場合、この計算は必要ありませんが、標準法には控除額の上限がないため、標準法を使用したほうが控除額を大きくなる可能性があります。
幸いなことに、標準法と簡易法は毎年切り替えることができます。理由を説明せずに計算法の切り替えを選択することが可能です。納税申告時にどちらを選択するか決定する前に、両方の方法で計算を行い、控除額が最大になる方法を確認することをお勧めします。
監査の際に控除額を証明できるように書類を準備しておいてください。直接的な経費だけでなく、ホームオフィスのスペース利用についても詳細な記録を残しておくことが常に望ましいやり方です。これ以外にも、住宅ローン金利や固定資産税など、住宅関連のあらゆる年間経費も記録しておくべきです。
ホームオフィスで業務活動を行っていることを示す請求書または契約書のコピーを保管しておいてください。さらに、ホームオフィスで毎日就労した時間を記録する記録簿を残すことも検討してください。これにより、そのスペースを一貫して業務用に使用していることが証明できます。
ホームオフィスに関して控除できるすべての経費を特定してください。公共料金やWi-Fiといった基本的な料金のほか、ホームセキュリティシステムや業務用電話回線などの経費も控除対象になります。
また、壁面塗り替えや壊れたデスクチェアの交換など、ワークスペースに直接利益をもたらす家屋のメンテナンス費用の一部も控除可能です。
税法は常時改正されるため、最新情報を入手することが重要です。税法改正を把握しておけば、最新のIRS規則を確実に遵守することができます。
法令遵守の維持は、監査のリスクを小さくするだけでなく、この税額控除を最大限に活かす上でも役立ちます。
確定申告でこれらの経費控除を行う際には、2つの申告書(スケジュールCとフォーム8829)を考えなければなりません。
スケジュールCは、ホームオフィスの税額控除に簡易法を使用する場合に記入しなければならない簡易フォームです。
フォーム8829は、ホームオフィス関連の経費として控除できる項目を判断する際に役立ちます。このフォームは4部で構成されています。
パート1:自宅で業務用として使用しているスペースの面積を計算して、業務用スペースの比率を算出します。ほとんどの事業の場合、自宅の総面積から業務専用面積を求めます。
パート2:総事業所得と控除可能な経費を記載します。このフォームには、自宅を業務用に使用した場合に計上できる総経費の算出方法が記載されています。
パート3:自宅のうち業務用に使用している部分の減価償却費を計算します。このフォームには、認められる減価償却率の決定方法に関する説明が記載されています。
パート4:この最終の部分では、翌課税年度に繰り越せる経費を算出します。
自営業の皆様は、税額控除および経費の対象について理解を深めることによって賢く節税し、より的確な事業上の意思決定を下すことができます。税務の専門家に相談し、リモートワークの課税所得について理解を深めることが賢明です。
さらに貯蓄を増やすために、節税のための長期的戦略を考えてください。確定給付型年金制度に加入することや、所有する建物を事業用にしている場合はその建物の賃料を自分に支払う形にすることも必要かもしれません。
Remoteは未来の働き方をがらりと変えます。当社の専門家チームがその経験と知識を駆使し、リモートワーカーの皆様が計上可能な税額控除と経費を簡単に把握し、判断できるようお手伝いします。
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