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複数の国で雇用する際には、まず、国境を越えて拡張可能な公平な報酬戦略の立案方法を理解する必要があります。
報酬には、給与だけでなく、福利厚生、ストックオプション、年金などの特典に対する企業拠出金も含まれることを鑑みれば、定期的に再評価すべきです。チームの分散が進むほど、グローバル報酬の支給方法は多様化するため、対処すべき問題も増えます。
本記事では、グローバル報酬の定義と、リモート従業員のグローバル報酬の効率的な管理方法について説明します。
グローバル報酬とは、世界各国に分散している従業員に対する直接・間接報酬を企業が管理する方法を指します。直接報酬は給与と賞与が占めるのに対し、間接報酬には、優秀な人材を引き付け、従業員の定着率を高めるために雇用主が提供するあらゆる特別手当が含まれます。間接報酬の内訳は、健康保険から401(k)拠出金、ストックオプションまで、多岐にわたります。
報酬の目的は、従業員の貢献に報いるだけでなく、公平性と法令遵守を確保しつつ、人材を引き付け、意欲や定着率を高めることで、組織の戦略的目標をサポートするシステムを構築することにあります。
国際的な報酬には法的な要素も含まれます。企業は国際的な従業員に対して、どのようにしてコンプライアンスを確保しながら報酬を支給すればいいのでしょうか。RemoteのようなEmployer of Record(EOR)は、コンプライアンスの面で支援できますが、本記事では、国際雇用に先立つ総報酬プログラムの開発に焦点を当てます。
報酬の管理は、一国内だけでも十分に複雑です。複数の国で総報酬を処理するには、まず基本を正しく理解する必要があります。
理解すべき基本事項は、次のとおりです。
基本給。求職者に内定を出す前に、その職務の基本給を設定する必要があります。職務や年功序列のベンチマークに加え、雇用主は、基本報酬に求職者の現地の購買力やその他複数の要素(インフレ率や特別税制など)を確実に反映させる必要があります。
手当と保険料。チームメンバー1人当たりの賞与やその他の手当の適切な金額を査定するには、雇用する各国の標準的な生活費を考慮します。これにより、魅力的で競争力のある報酬プログラムを作成し、従業員の獲得と定着を促進できます。
福利厚生。各国には法定福利厚生のリストがあり、さらに民間医療などの特典を追加して補完できます。しかし、すべての従業員が同じ福利厚生を重視するとは限りません。世界にはさまざまな医療制度があることを踏まえると、民間保険への加入を期待する従業員もいれば、NHS以外の医療保険に必要性を感じない従業員もいるでしょう。
その他のインセンティブ。基本給を設定したら、自社の報酬プログラムに関連するインセンティブを追加できます。たとえば、全従業員にストックオプションを付与する場合、雇用するすべての国で株式提供に関連する法的問題を確実に解決する必要があります。
各従業員に公正かつ公平な報酬を提供するには、国際的な報酬のあらゆる面を考慮した総合的な報酬ポリシーの作成が不可欠です。企業の戦略は、従業員のモチベーションを高め、自社との長期的なエンゲージメントを促進する、金銭的報酬、キャリア報酬、福利厚生報酬に対応する必要があります。では、実効性の高いグローバル報酬戦略の策定プロセスを詳しく見ていきましょう。
合計福利厚生と総従業員報酬は密接に関連した概念ですが、その範囲は異なります。両者の違いをまとめました。
合計従業員報酬とは、従業員が労働の対価として受け取る金銭および給付金の合計額を指します。内訳は次のとおりです。
基本給(賃金):労働時間に対する通常の給与、または定額の給与。
時間外労働手当:通常の週労働時間を超えて働いた時間に対して加算される報酬。
賞与または歩合給:パフォーマンス、売上、その他の要因に基づいて加算される報酬。
インセンティブ:利益分配やストックオプションなどの金銭的報酬。合計福利厚生には、従業員が職務から受ける金銭的および非金銭的福利厚生が含まれますが、これらは直接報酬の一部とは見なされません。内訳は次のとおりです。
健康保険:雇用主が負担または補助する医療保険、歯科保険、および眼科保険。
退職給付:年金制度、401(k)企業負担分、またはその他の退職口座への拠出金。
有給休暇:休暇、病気休暇、休日、育児休暇。
その他の特典:ウェルネスプログラム、授業料償還、託児所、交通費補助、従業員割引など。
報酬と福利厚生の両方を合算すると、従業員が労働から得られる価値の合計となります。
公平で公正なグローバル報酬ポリシーの提供は、労働者の満足度、多様性、生産性を高めるうえで必要な要素です。
なぜ、雇用主は給与の平等性の問題に関心を持つべきなのでしょうか。報酬における平等性の確保は、正しい施策であるだけではなく、多様性と平等性をグローバル報酬の中心に据えることで、全従業員が自分の価値が評価されていることを実感できるようになります。
多様性と平等性の概念は、ビジネスの効率性や倫理的慣行に留まりません。世界中の多くの議会があらゆる性別の人々のために同一賃金法を採用する中、給与の平等性に関する内部統制が存在しない企業は、規制当局に問題視されるおそれがあります。さらには、不本意な理由で報道されかねません。
リモートワークは、多くの企業にとって標準的な勤務形態となっており、今後も国際雇用を行う企業が増えると予想されます。リモートワーカーを雇用している企業は、グローバル報酬計画の作成について、特に注意する必要があります。総報酬ポリシーはすべて、給与だけでなく法定福利厚生や法定外福利厚生、各種控除にも及ぶため、プランが複雑化する可能性があります。
カナダとオーストラリアの例を見てみましょう。
カナダでは、従業員の保険は雇用主が月単位で負担するため、従業員の手取りはその分だけ増えます。オーストラリアでは、従業員が一定の給与帯に達すると、雇用主は(大学に在籍している)従業員の高等教育授業料を給与から差し引く必要があります。このため、従業員の銀行口座に入金される額は少なくなります。
したがって、それぞれ別の国で同じ業務を行っている2名の従業員の給与が同額であっても、さまざまな雇用法の適用を受けるため、手取り給与には差が生じます。総報酬ポリシーを導入することで、企業はこうした違いを認識し、全従業員に公平な報酬を支給できるようになります。
すべての違いを考慮して給与を調整すべきだというわけではなく、企業が競争力のある報酬を提示するには、現地のさまざまな要因を認識する必要があるということです。
包括的な総報酬ポリシーは、従業員の満足度とモチベーションを維持し、成果を出してもらうための最適な方策です。逆もまた然りです。グローバル報酬計画の内容が不十分な場合や、プランが存在しない場合には、従業員は困惑し、過小評価されている、あるいはまったく評価されていないと感じるようになり、パフォーマンスの低下や定着率の低下につながりかねません。
実効性の高い総報酬計画にはすべて、透明性があります。公平で公正なグローバル報酬戦略を策定するのであれば、その背景にあるプロセスを従業員や関係者全員と共有すべきです。Remoteでは、公開ハンドブックの大部分を合計報酬ポリシーの紹介に充てています。このため、誰でもRemoteにおける給与の設定基準や考慮事項(生活費や業績など)を確認できます。
総報酬戦略の策定に着手する際に最適な方法の1つは、給与平等性監査(PEA)です。
報酬の格差を是正するには、まず、同じ年功序列層の従業員の生活費を確認する必要があります。次に、すべての相違点を調査し、妥当な相違点があるかを精査します。
税金や保険料の世界的な変動に加え、職歴、在職期間、業績指標(直近の昇給や賞与の裏付けとなる要素)にも注目します。こうした要因を除けば、他の要因では説明できない給与格差だけが残り、それが格差是正の対象となります。
では、自社の基本給に競争力があるかどうかは、どう判断すればいいのでしょうか。幸い、多くのリモート企業(特にハイテク企業)は、従業員に支給している給与の額を公表しています。
Bufferはその好例です。同社では、勤務地と希望する職種に対して、Bufferで得られる収入の額を確認できるTransparent Salary Calculatorを提供しているほか、自社の従業員に支給している報酬についても開示しています。これらのページはすべて連動しているため、Bufferを雇用先に検討しているのであれば、計算ツールを使用すると、同社の従業員には計算結果どおりの給与が支給されていることを確認できます。
給与平等性監査の実施は、万全なグローバル報酬ポリシーを策定するうえで大きな一歩です。この監査は、定期的な市場賃金格差分析と男女間賃金格差分析の2部構成で行われます。
定期的な市場賃金格差分析では、従業員が企業で担っている職務、勤務地、それらに基づく給与を中心に分析します。この分析では、年功序列(ある従業員が他の従業員と比較してどの程度経験を積んでいるか)や業績(従業員がどのような業績評価を受けているか)などを対象にできます。
こうした要素を数値化し、組織全体で比較することで、似た経歴を持つ従業員が、その貢献に対して同程度の報酬を得るべき分野を特定できます。
男女間賃金格差分析も必要な要素ですが、必要であるがゆえに、プロセスにおいて独自の手順での実行が求められます。Payscaleによれば、その差は近年縮まってきているとはいえ、同じ仕事をした場合でも、女性の収入は依然として男性より低いままです。組織が男女間賃金格差を予防的に評価しようとするにつれ、こうした観点から総報酬を確認することは、平等なグローバル報酬計画の重要な要素となっています。
給与調整は純粋に事後対応となるため、企業は報酬格差を継続的に是正するための予防策を模索する必要があります。給与監査では、業務上の過誤を発見し、その過誤を是正するための仕組みを提供する必要があります。
Remoteの人事担当VPであるBarbara Matthewsは、社内チームを指揮して、グローバル給与平等性監査を含む総報酬ポリシーの総点検を行いました。同様の監査を行おうとしている他の企業に対して、Matthews人事担当VPは、透明性を重視するよう推奨しています。
「平等なグローバル報酬は大きな問題です。当社は、他社に模範を示すことができるよう取り組んでいます。社内では先日、新しい総報酬の理念を導入しました。この理念は公開ハンドブックに掲載されています。当社のポリシーは、帰属意識、包括性、平等性、多様性に重点を置いています。
Remoteの設立は、従業員は就業機会に、企業は人材に平等にアクセスできるようにすることを目的としています。そのためには、労働に対して公正な給与を支給することが必要だと考えています。Remoteでは、当社で働く全員に公平な給与基準を設定したいと考えています。また、当社のグローバル雇用サービスは、他社でも社内で同じ取り組みを簡単に行えるようにするものです」
リモート従業員の発掘、採用、オンボーディングを進めるため、またその過程でコンプライアンスを維持し続けるための必要なプロセスをご覧いただけます。
リモートワークや分散型労働によって、さまざまな場所に居住する従業員に支給すべき給与の額について、混乱が生じています。一部の企業(特に出社勤務が中心の企業)では、本社から離れて働くリモートワーカーは減給されており、事実上のペナルティが課されています。生活費は従業員報酬の算定要素になり得ますが、リモートワークを理由に従業員が不利益を被るような方法は不適切です。
Remoteの調査によると、労働者の81%は、将来の仕事に影響なく転居できるのであれば、新天地に転居したいと回答しています。リモートワークによって労働者の流動性が活発化するにつれて、同じ仕事を、同程度の給与で、もっと望ましい場所で行えるとわかっている場合、労働者は一か所にとどまりたがらなくなります。
ただし、必ずしも南国の楽園のような場所に移住しようとするわけではありません。多くの従業員は、家族の近くに住みたい、子供をもっと質の高い教育を受けられる学校に通わせたい、あるいは単に新しい文化を体験したいといった理由で転居します。転居の理由はさまざまですが、移動という選択肢があることは共通しています。従業員の転居に寛容な企業は、長期的に優秀な人材を引き付け、確保できる傾向があります。
企業がさまざまな場所で優秀な人材を獲得するには、最低限の法定福利厚生を提供するだけでは不十分です。従業員は、競争力の高い福利厚生制度が提供される就業機会を求めています。しかし、競争力の高い福利厚生制度を開発することは、必ずしも多額の資金を投入することではありません。
現代の従業員が求める最新の福利厚生とは、柔軟性を前面に押し出したものです。すべての従業員がリモートワークを希望しているわけではありませんが、多くの従業員はリモートワークを希望しています。こうした従業員は、出社回帰を要求する企業を選ぼうとはしません。
フレックスタイム制、勤務地の自由、在宅勤務手当などの特典は、従業員に、希望する勤務地に関係なくサポートされていると実感してもらううえで大いに役立ちます。年金や健康保険など、従来型の福利厚生を加えると、総報酬パッケージの福利厚生部分は、従業員を引き付け、確保するうえで大きな役割を果たします。
総報酬ポリシーの優れた点は、本質的に拡張性があることです。給与を一定の水準に設定する方法と理由や、最適な福利厚生を提供する方法を理解すれば、優秀な人材に競争力のある条件を速やかに提示できるようになります。
2つの状況を考えてみましょう。1つ目の状況では、明確な総報酬ポリシーがありません。募集中の求人に最適な人材が見つかったら、その職務に設定すべき給与額、その人材の所在する国で提供できる福利厚生、生活費が待遇条件にどの程度影響するかなどをすばやく把握する必要があります。
こうした情報の把握には時間がかかるため、その人材は「委細相談」といった回答に不満を感じて、他社の内定を承諾することも考えられます。
明確な総報酬方針があれば、採用プロセスを滞らせる報酬に関する雑務はすべて省略できます。人材を発掘したら、自社のポリシーを確認し、すぐに好条件を提示します。企業がその人材を評価し、入社に大きく期待していることを具体的に示せば、その人材が他の仕事を探し続けることはなくなります。
総報酬の社内拡張性についても同様です。このポリシーは、新入社員だけでなく、昇進や業績評価などの人事業務にも対応しています。これにより、社内の流動性が高まり、既存の人材も、自分が評価され、注目されていると実感できるようになります。
グローバル報酬には、大きく分けて、「全員に同一の給与を支給する」、「生活費調整を加算する」、「給与計算ツールを使用する」、「総報酬アプローチに従う」という4種類のアプローチがあります。これら4種類の戦略の違いを見ていく前に、まずグローバル給与、地理的給与、現地生活費の違いを理解する必要があります。
グローバル給与とは、職務と経験のみに基づいて給与を設定し、労働者の居住地に関係なく同じ給与を支給することです。地理的給与とは、給与設定に地理的給与レンジを使用することです。生活費(調整)とは、従業員が居住する地域での生活費に基づいて従業員の給与を調整することです。
グローバル給与と生活費はわかりやすいですが、地理的給与レンジは少し異なります。地理的給与レンジは、生活費が同程度の広い地域を指します。たとえば、報酬の標準的な生活費モデルでは、国内の都市を個別に考慮しますが、地理的給与レンジでは、給与計算の観点から、生活費が同程度の複数の国を1つの単位として含める場合があります。Remoteは、地理的給与レンジを使用しています。これは、チームメンバーにより高い給与を支給できるためです。
以下は、グローバル報酬を決定する際に使用される最も一般的な戦略です。
最も管理しやすい戦略ですが、最もコストがかかります。全員に同じ給与を支給するということは、通常、物価の高い都市に合わせて給与を設定するということです。そうでなければ、企業は大都市圏に居住する人材を雇用できなくなります。たとえば、シニアオペレーションスペシャリストとしてサンフランシスコで勤務する従業員は、タイのチェンマイで勤務するシニアオペレーションスペシャリストとまったく同じ給与を受け取ることになります。資金に余裕のある中小企業にとっては好ましい方法になり得ますが、グローバル給与を拡大するとなると、すぐに費用が高額になります。
前述のように、企業は都市レベルのデータまたは地理的給与レンジを使用して生活費を考慮できます。地理的給与レンジは、給与の公平性に大きな格差を生じさせることなく、従業員に高い給与を支給することで、グローバル給与と都市レベルの生活費のバランスを適切に維持します。地理的給与では、生活費の高い地域に居住する従業員は依然としてある程度の額の給与を受け取ることができ、生活費の低い地域に居住する従業員は都市レベルのモデルよりも高額の給与を受け取ることができます。
生活費に連動した報酬計算ツールは、少なくとも給与の部分については、グローバル報酬を管理する賢明な方法です。BufferとGitLabはいずれも給与計算ツールを公開しており、入社希望者は各社での年収を確認できます。給与計算ツールを設置する際に問題となるのは、維持管理です。すべての変数を管理するのは難しく、特に為替レートのような要素は時間の経過とともに変化します。計算ツールに変更を加えると、従業員全体に広く影響が及ぶ可能性があるため、最初から正しく設定することが重要です。
大企業や成長著しい新興企業は、グローバル報酬に関して非常に多数の課題に直面しています。Remoteには、グローバル報酬と総報酬について、世界トップレベルの実践的な経験があります。その専門知識を活かして、手厚く平等で柔軟性のある総報酬ポリシーを策定しました。
国際的な報酬の最も一般的なアプローチは、地理的給与レンジを使用することです。これにより、チームメンバーの居住地がどこであっても、十分な給与を支給できます。 最適な管理人材を確保するため、当社では取締役以上の役職について、米国の給与率の80%を基準としたグローバルな給与レンジを採用しています。当社のコンパレシオアプローチでは、給与のベースラインを(通常の50%ではなく)中央値の65%に設定し、その後、パフォーマンスと経験に基づいて増減を調整します。こうした戦術によって、成長の余地を残しながら従業員に十分な給与を支給することを可能にしています。
公平性と平等性の確保は、すべての労働者に同一賃金を設定する以上に複雑です。 報酬の平等性は重要ですが、真の平等性を実現するには、企業は労働者の勤務地から福利厚生制度まですべてを考慮する必要があります。
リモートワークによって、従業員は個人の希望に応じて雇用機会を選択しやすくなりました。労働者へのパワーシフトが進む中、企業は公平で競争力があるだけでなく、魅力的な総報酬ポリシーの策定に積極的に取り組む必要があります。
既存の人材を定着させ、新たな人材を引き付けるには、企業は金銭的インセンティブと非金銭的インセンティブの両方を含む総報酬ポリシーに取り組む必要があります。文化的背景や平等性をめぐる議論を考えれば、これは特に重要です。透明性と公平性を保証する方法で報酬を構成するのは、組織の責任です。
さらに従業員は、メンタルヘルスケア、学生ローンの返済支援、学習・能力開発予算など、従来とは異なる特典を含む総報酬プログラムに対して大いに好意的な反応を示します。
魅力的で先進的な総報酬ポリシーを策定すれば、従業員が最大のパフォーマンスを発揮するモチベーションになるだけでなく、評価されていることを実感してもらうことにもつながります。さらに、このような福利厚生は、雇用主が競合他社との差別化を図るうえで役立ち、競争が激化する人材市場において鍵となります。
福利厚生を伴う総報酬計画の構築には、やや矛盾があります。どの従業員も自分の福利厚生制度が個人的に適切だと感じられるようにすべきですが、可能な限り企業が提供する同じ福利厚生をすべての従業員が利用できるようにすべきです。
社会保険料や関連する公的扶助の規則は、国によって異なるため、これを報酬ベンチマークに反映する必要があります。たとえば、Remoteは、オランダでは雇用主が従業員の年収の8%に相当する休暇手当を支給する義務があることを考慮しています。
こうした特別手当は、各職種のベンチマークに織り込まれています。フィリピンとメキシコでは、雇用主は「13か月目の給与」の支給が義務付けられていますが、当社も同様の慣例に従っています。
国の定めた福利厚生だけでは、競争力のある福利厚生制度にはなりません。雇用主は、政府による義務づけはなくとも従業員が市場標準とみなしている報酬(例: ブラジルや米国の民間保険パッケージ)についても考慮する必要があります。市場で他の雇用主との差別化を図るには、既存の従業員や将来の従業員が従来とは異なるどのような福利厚生を希望しているかを検討してください。
グローバル報酬の管理方法の実例として、世界数十か国に数百人の従業員を擁するRemoteでの総報酬の扱い方をご紹介します。
Remoteのミッションは、全従業員に公正な報酬と平等性を保証することです。当社の総報酬ポリシーは、従業員のウェルビーイング、公平性、平等性を中心に据えた、報酬に関する詳細な調査の結果に基づいて策定されています。
グローバル報酬に対する当社のアプローチを通じて、他社も当社に追随し、自社の分散型チームに十分な報酬を支給し、世界中の生活水準を改善し、地域経済に貢献することで多くの人々を支援するようになればと願っています。
2021年、Remoteは、各職務の報酬のベンチマーク方法を理解するため、広範な給与・平等性分析を実施しました。Remoteの全従業員が性別に関係なく公平に給与を支給されるよう、この調査では男女間格差の分析を行いました。
特定の従業員の報酬データを公表することはできませんが、報酬の決定要素については公表しています。Remoteは、取締役クラスの従業員および営業職の給与にグローバル給与を適用しており、いずれも米国の給与率である80%をベンチマークとしています。その他の職務に対する報酬は、以下の条件に基づいています。
生活費/家賃指数(地理的給与)
業界ベンチマークとの整合性
経験レベルと職務との整合性
市場全体における65番目の順位
社内の公平性と平等性を確保するために、チームや部門を横断してベンチマーキングを行う
Remoteでは、報酬ポリシーの計算式の一部として前述の地理的給与レンジを使用しています。 生活費指数を決定する際には、都市や地域ごとではなく、国ごとの正確な生活費を確認しています。これが重要なのは、隣接する2つの国が2つの異なる地理的範囲に属する可能性があるためです(例: レバノンとイスラエル)。
Remoteでは、事業を展開するあらゆる国においてコンプライアンスを確保するため、全従業員の給与は現地通貨で支給されています。米ドルからすべての現地通貨への換算には、随時更新される計算ツールを使用しています。公平性を担保し、為替変動のバランスを考慮するため、12か月間の平均レートを使用しています。
当社の報酬審査ポリシーには、以下を含む多数の要素が盛り込まれています。
年2回の業績評価(10月/11月に報酬審査、5月/6月に市場チェック)
昇進を決定する際の就任への準備状態と個人の素質を判断
市場の給与レンジの中点を採用し、従業員の報酬と比較するコンパレシオ指標
その他の詳細については、当社が公開している報酬ポリシーに関する文書を必ず参照してください。
Remoteでは、フレックスタイム制、無制限の休暇、教育給付金、コワーキング手当など、社員にとって魅力的な福利厚生を提供しています。また、従業員の母国で義務付けられている場合には、13か月目の給与や14日間の休暇手当など、勤務地に応じた福利厚生も支給しています。
当社の従業員は、提携先のModern Healthが提供するキャリア指導やメンタルヘルスケアなど、他の充実した福利厚生も共通して利用できます。 当社の目標は、高い生活水準を設定し、世界中のRemoteの従業員がその水準を体験できるよう、福利厚生制度を整備することです。
綿密に練り上げられた報酬戦略に求められるのは、現地の労働法を遵守しながら、競争力のある公平な報酬を従業員に支給することです。以下に、実効性の高いグローバル報酬戦略を策定する7つのステップをご紹介します。
グローバル報酬計画は、明確に定義された数値化可能な目標から先に設定する必要があります。報酬計画にどのような効果を求めるかを考える必要があります。
つまり、「優秀な従業員を定着させる」、「仕事に対する従業員の満足度を確保する」、「給与を市場相場に合わせて維持する」などです。
明確な主要目標を設定することで、戦略の方向性が明確になり、報酬計画が組織の成功を後押しするようになります。
長期的な持続可能性を維持することは、競争力のある給与と企業の財務健全性のバランスを取るということです。現在の市場環境や経済予測に照らして、自社の財務能力を評価することが重要です。
基本給、賞与、福利厚生に充てる金額を決定します。明確な予算があれば、報酬計画を財務的に合理的な内容にすることができ、市場環境の変化にも適応できます。
グローバル報酬戦略を策定する際に最も重要なステップの1つは、徹底した市場分析を行うことです。そのためには、雇用を予定している各国の報酬動向や福利厚生制度を調査する必要があります。
合理的で競争力のある給与率を設定するには、現地の経済、労働規制、文化的規範を十分に理解することが不可欠です。
また、競合他社の従業員福利厚生、給与、その他のインセンティブに関する情報も必ず収集してください。この情報を利用して、自社に競争力を持たせることができます。
報酬計画を設計・実施する際には、現地の労働法、雇用基準、税制を考慮することが重要です。ほとんどの場合、これらの法律は時間外労働手当、最低賃金要件、福利厚生などを規定しています。
グローバル規模で報酬戦略を実施する場合は、雇用を行う各国の文化的規範や労働法を慎重に検討してください。現地の法律に従わなければ、法的ペナルティを科されたり、企業の信用が損なわれたりするおそれがあります。
RemoteのようなEORと提携すると、合法的かつ法令を遵守した雇用管理を行うことができます。
また、文化は、基本給が手当や賞与に比べてどの程度重視されるかといった報酬に対する希望を判断するうえで一定の役割を果たしています。現地の期待に沿うように戦略を調整することで、従業員の定着率を高めることができます。
勤務地、職務内容、必要なスキルや経験などを考慮し、職種ごとに給与の幅を設定します。
グローバルな報酬戦略を管理しやすくする1つの方法は、テクノロジーを活用することです。プロセスを自動化し、データを統合し、リアルタイムでレポートを作成できる包括的な人事ソフトウェアに投資してください。
HRISを使用すると、給与の傾向を追跡し、コンプライアンスをチェックし、データを基に給与を決定できます。たとえば、 Remoteは包括的なHRISソフトウェアを提供しており、従業員に各国の通貨でタイムリーに給与を支給できます。
充実した福利厚生制度は、従業員を尊重していることを示し、従業員の意欲を高めるうえで効果的です。実際、米国の労働者の49%が、勤務先の福利厚生に非常に満足しています。
このため、報酬計画を充実させるには、他にも特典を盛り込むことが重要です。国際的な規範と地域的な嗜好の両方を考慮に入れながら、従業員に提供する手当を決定してください。
たとえば、住宅手当、健康保険、フレックスタイム制、キャリア開発の機会などを提供することもできます。
グローバル従業員の多様なニーズに合わせて、それぞれの地域で適切かつ価値のあるサービスを提供できるようにしてください。
報酬パッケージの実効性を確保するには、定期的に見直し、従業員とマネージャーの双方からフィードバックを収集することが重要です。また、市場動向や法改正に関する最新情報も常に把握してください。
自社の変化する需要に対応し、グローバル従業員の熱意とモチベーションを維持できるかどうかは、報酬パッケージを常に改善しようという企業側の意欲にかかっています。
グローバル総報酬プログラムは、公平で競争力のあるパッケージを作成するため、従業員の報酬と福利厚生を組織の事業目標、価値観、文化に合わせて調整します。
グローバル総報酬プログラムを練り上げることで、優秀な人材の雇用と確保ははるかに容易になります。以下に、こうしたプログラムを作成するうえで重要な戦略をご紹介します。
報酬体系は、常に変化する従業員の要望に対応し、組織の長期的な目標をサポートする必要があります。
明確で公平な報酬計画を導入することで、優秀な人材を引き付け、社に定着してもらうことができます。提示する給与が社全体の予算に見合うものにすると同時に、現地の労働基準を確実に遵守することが重要です。
報酬戦略の競争力と魅力を高めるには、福利厚生や特典を含む包括的なパッケージを構築します。たとえば、賞与やストックオプションのような業績連動型のインセンティブを提供することで、従業員のパフォーマンス向上を促進できます。
リモートワーカーの給与と福利厚生を管理しやすくするリソースをまとめました。たとえば、次のようなものがあります。
グローバル給与管理ガイド – グローバルチームの給与を管理し、国際労働法に準拠するための方法をご確認ください。公正かつ公平なグローバル報酬プログラムを使用してグローバル展開チームを構築することは、世界中の優秀な人材を引き付け、確保するうえで効果的です。
グローバルワークフォース変革レポート – 未来の働き方に備え、優秀なグローバル人材の獲得競争において差別化を図るうえで役立つ包括的なレポートです。リモートワークの最新動向を把握し、従業員が新しい働き方に何を求めているのかを理解しましょう。
リモート従業員の報酬を計算する方法 – Basecamp、Buffer、GitLabのようなブランドの例を含む、さまざまな報酬モデルを紹介する補完的な記事です。
コンサルティングサービス – 国際的な雇用法に準拠しながら、効率的にグローバル人材を増員する方法について、当社の専門家にご相談いただけます。
リモート優先モデルへの移行 – グローバル雇用の伴う問題を解消し、未来の働き方を導入する方法について説明した資料です。
グローバル報酬の管理は、最初は負担が大きいと感じらるかもしれません。グローバルベースと地理ベースの給与率の違い、法定福利厚生とその他の福利厚生の取り扱いなどは、考慮すべき要素のほんの一部に過ぎません。適切な方法で行えば、分散型のリモートチームの雇用は単純な作業になります。
Remoteでは、勤務地、市場の需要、世界の動向、平等な給与など、さまざまな要素を考慮したグローバル報酬の総報酬ポリシーの策定を推奨しています。すでにグローバルチームの雇用を行っている場合、報酬ポリシー戦略は、まず給与公平性監査を実施して、社内のグループ間の望ましくない格差を是正することから始めてください。分散型チームの給与支給と管理について詳しくは、グローバル給与管理ガイドを参照してください。
G2がナンバーワンと評価した多国間給与計算ソフトウェアであるRemoteで、最初の従業員のオンボーディングがほんの数分でスタートできます。
世界中で人材を採用し、確保するには、グローバルな報酬計画が必要です。とはいえ、各国の労働法や報酬要件を把握するのは面倒だと感じることもあるでしょう。
RemoteのEORサービスを利用すれば、コンプライアンスを確保しやすくなり、すべての給与処理業務を1か所に集約できます。
Remote契約社員管理は、さまざまな場所にいる契約社員に給与を支給する際にも便利です。Remoteを使用することで、スピーディかつ正確な、法令を遵守した給与処理を確実に実行できます。
詳しくは、当社の専門家までお問い合わせください。
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