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ルーマニアの従業員福利厚生:理解しておくべき点

執筆者: Bruce Gilbert
Bruce Gilbert

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チームをグローバルに拡大しようとしている企業であれば、国際的な従業員の雇用は、複雑になりがちであることがわかるでしょう。雇用主は、ルーマニアなど他国の法令に準拠した雇用契約書を作成するには、現地の法定福利厚生(および市場における報酬への期待)について理解する必要があります。

Remoteは、まさにそのために存在します。当社のグローバルHRチームは、ルーマニアや世界のその他の国における雇用主の義務に対する理解を助けます。

世界各国に法人を持つ経験豊富なEORとして、Remoteは、(ルーマニアを含む)複数の国にまたがる福利厚生制度の管理を、競争力を維持し法令に準拠しながら、リスクも煩雑さもなく行うことができます。

ルーマニア人従業員に関する本福利厚生ガイドでは、企業が提供を義務付けられている福利厚生と、優秀な人材の獲得を目的として提供できる、その他の特典について説明します。ルーマニアにおける雇用について、重要な点を以下に挙げます。

  • ルーマニアにおける福利厚生の対象者

  • 法律により企業に提供が義務付けられている法定福利厚生

  • ルーマニアで優秀な人材を引き付けるその他の福利厚生

  • 国際従業員向けの福利厚生を設定して管理する方法

ルーマニアで人材を雇用してみませんか?給与、福利厚生、税金、コンプライアンスについての詳細は、ルーマニアでの雇用ガイドを参照してください。

ルーマニアにおける福利厚生の対象者

法定福利厚生は義務的福利厚生とも呼ばれる権利です。雇用主は、これを従業員に支給するよう法律で義務付けられています。一般的な例としては、年次有給休暇、育児休暇、労災保険、有給病気休暇などの福利厚生が挙げられます。

他の多くの国と同様に、ルーマニア政府は従業員に最低限の福利厚生を提供することを雇用主に義務付けています。ルーマニアの従業員は、ルーマニア政府が定める標準的な従業員福利厚生の対象となります。

なお、ルーマニアの契約社員は、法定福利厚生の対象となりません。福利厚生や報酬は、企業と契約社員との特定の契約書によって決定されます。

雇用主はこの微妙な線引きを理解する必要があり、雇用関係を分類しようとすると、グローバル雇用がさらに複雑化する可能性があります。

企業が労働者を従業員とみなしているか契約社員とみなしているかにかかわらず、重要な判断は立法府が行います。雇用関係があると判断され、必要な権利を提供していない場合、企業は誤分類のリスクとそれに伴う罰金や罰則が課せられる場合があります。

この概念を理解するための詳細な情報については、従業員の誤分類に関する専用ガイドを必ずご確認ください。

法定従業員福利厚生

ルーマニア政府は、法定従業員福利厚生の基準を定めています。これらの福利厚生は、一般的に、少数の例外を除きすべての従業員に提供することが義務付けられています。最も一般的な福利厚生には、産前産後休暇, 病気休暇、休暇、社会保障などがあります。

ルーマニア政府によって義務付けられた標準的な従業員福利厚生は複数あり、雇用主はそれらを提供することが法律で義務付けられています。

ルーマニアにおける年次休暇

従業員は、勤続期間に応じて年間20日間の有給年次休暇を取得する権利があります。雇用主は、休暇開始の少なくとも5勤務日前までに従業員に給与を支給する必要があります。

従業員が年次休暇手当の全部または一部を年度内に取得できない場合、雇用主はそれを翌年度の最初の6か月間に繰り越すことが求められます。

病気休暇

年金および社会保険制度が適用され、必要額を支給済みの従業員は、労働法に基づき、1年に最大180日間の病気休暇を取得する権利を有し、場合によってはさらに90日間の延長が認められることがあります。

雇用主は従業員に最初の5暦日間の日当を支給します。それ以降は、FUNASS(Unique National Fund of Health Insurances)が病気休暇の支給を保障します。

病気手当は、病気の種類に応じて、従業員の過去6か月間の勤続期間中の平均月収の75%~100%となります。

産前産後休暇・育児休暇

ルーマニアの法律では、出産予定日前の63日間、出産予定日後の63日間、合計126日間の産前産後休暇が認められています。従業員はいずれの期間でも63日以上の休暇を取得できますが、予定日後に少なくとも42日の休暇を取得できなければなりません。

産前産後休暇は医療休暇とみなされ、従業員の担当医が各期間に割り当てる日数を決定します。産前産後休暇の手当は、出産前の12か月間に支給された給与の平均額の85.00%に相当します。

産前産後休暇に加えて、2歳までの子供、または障害のある子供の親は、別途有給休暇規定を利用できます。この休暇期間中、親は休暇前の収入に比例した額で手当が支給されます。2年の期間が終了する前に復職した親は、インセンティブの対象となります。雇用主は補償金を支払いません。

12歳未満の子供が通学しており、異常気象や医療上の緊急事態など特別な事情により学級閉鎖になった場合、親は有給休暇を取得する法的権利も有します。ただし、この種の休暇は1人の親のみが利用でき、両親ともに在宅勤務でない場合のみ利用できます。

年金プランおよび退職保険

定年年齢は、男性は65歳、女性は63歳です。保険に加入するには、従業員と雇用主の両者がルーマニアで社会保険と健康保険制度の保険料を負担する必要があります。老齢年金は、公的年金制度のもとで必要期間の拠出を完了し、明記された定年年齢に達したルーマニア国民に支給されます。

少なくとも15年間就労し、最低限の拠出金を納付した個人は、年金の受給資格を有します。男女とも、期間は35年として計算されます。

ルーマニアの居住許可証を持っているルーマニア国民ではない個人は、ルーマニアの法律で規定される社会保障分野のすべての給付金を受給する権利を有します。従業員の総支給額に対する拠出率は年度ごとに設定され、従業員側と雇用主側とで異なり、総給与額に基づいて計算されます。

従業員の場合、一般的な拠出額は次のとおりです。

  • 社会保険: 25%

  • 健康保険: 10%

雇用主側は、全労働者の労働保険として2.25%を拠出し、状況に応じて従業員1人あたり4%または8%の年金拠出金の負担が義務付けられています。この他に、次のような少額の拠出も義務付けられています。

  • 病気休暇補償拠出金: 0.47%

  • 労災補償拠出金: 0.05%

  • その他 - 労働保険料: 1.1%

通常の労働条件では、従業員のために雇用主が負担するその他の社会保険料はありません。ただし、特定の状況では例外が適用されます。

その場合、雇用主は労働保険料2.25%の支払い義務を負います。建設業界の場合、法律に特定の例外が含まれています。

時間外労働と最低賃金

2022年1月1日以降、ルーマニア国内の最低賃金は月給2,300~2,550ルーマニアレウです。高等教育において少なくとも1年の勤続年数があれば、月給2,350.00ルーマニアレウまたは時給13.88ルーマニアレウを受け取る権利を有します。

ルーマニアの労働法で定められている労働時間は、最大1日8時間、週5日間、週48時間以内(時間外労働を含む)です。パートタイム従業員は、最低週10時間、1日あたり2時間の就労が求められます。18歳未満の従業員は、1日6時間または週30時間を超えて就労することはできません。

雇用主は各従業員の毎日の労働時間を記録し、必要に応じて労働監督管理局に記録を提出することが求められます。

雇用主は、従業員が1日12時間の労働を終えた後、24時間の休憩時間を与える必要があります。通常の1日8時間、週40時間を超えて就労した従業員には、有給休暇を付与する必要があります。この有給休暇は、時間外労働が行われてから60日以内に付与しなければなりません。

代休を付与できない場合は、時間外労働の量に応じて基本給の75%以上を加算した手当を従業員に支給する必要があります。

18歳未満の労働者、パートタイム従業員、健康上の理由により通常の労働時間で勤務できない妊娠中の労働者には、時間外労働は認められません。

健康保険

ルーマニアの法律では、従業員に対する保険規定は義務付けられていません。つまり、雇用主は健康保険を提供する必要はありません。

ただし、Remoteは、ルーマニア人従業員を雇用するすべての企業に対し、平等な福利厚生の一部として民間健康保険への加入を強く推奨しています。これにより、雇用主の誠意ある配慮が従業員に伝わり、世界中に分散したチームとの関係強化に役立ちます。

一部のグローバル企業は、民間健康保険への加入を提供していませんが、現地の進歩的な雇用主は、従業員に民間健康保険への加入を提供しているケースが比較的多く見受けられます。

実際に、健康保険やその他の保険(歯科保険、眼科保険、生命保険など)を福利厚生として提供することは、新規採用者との信頼関係を築き、競合他社との差別化を図るうえで有効な方法です。

ルーマニアで新しい人材を雇用する際にかかるコストの詳細を確認するには、無料の従業員コスト計算ツールをご利用ください。

ルーマニア人従業員向けに考慮すべき補足的な福利厚生

政府が義務付けているもの以外にも、最低限の法定要件を問わず、雇用主は追加のインセンティブや規定を全従業員に提供することを強く推奨します。

Remoteは、グローバルチームが安心、安定、ワークライフバランスを得られるような特典と福利厚生の提供に献身しています。社内の人事スペシャリストとグローバル福利厚生専門家で構成されたチームは、絶えず顧客企業と連絡を取り、優秀な人材を引き付けることができるカスタマイズされた競争力のある福利厚生制度の構築に取り組んでいます。

ルーマニアは、特にソフトウェアエンジニアリングの分野において、欧州でも人材獲得競争の激しい新興労働市場の1つです。最低限の福利厚生を提供するだけでは、現地の優秀な人材獲得の可能性が狭まります。世界中の多くの企業がリモートワークを導入する中で、労働者は特定の特典を求める傾向を示しています(詳細は、当社の価値観に基づく福利厚生ガイドで説明しています)。

特典の追加は、優秀な人材の獲得と定着の強力な動機付けになり得ます。以下に、検討すべき特典を手短にまとめました。

  • 個人の学習・能力開発予算

  • セラピーまたはコーチング手当

  • メンターシッププログラム

  • ボランティア活動日

  • 誕生日休暇

  • 食費と旅費

  • ジムまたはヘルスクラブの会員権

ビジネスの規模が国際的な人材の確保を妨げるべきではありません。ルーマニア人(またはその他の国際労働者)の雇用を検討している中小企業の場合も、魅力的で費用対効果の高い福利厚生プランを組み立てられます。こちらの費用対効果の高いグローバルな福利厚生のための中小企業向けガイドを参考にすると、国際従業員に喜ばれる特典を、多額の費用をかけずに見つけることができます。

国際従業員向けの福利厚生を設定して管理する方法

ルーマニアではソフトウェアエンジニア、インドではCFO、シンガポールではSEOマネージャーといった人材を雇用する場合も、コンプライアンスを確保し、現地市場で競争力を維持するには、各国の福利厚生の仕組みを理解する必要があります。

しかし、世界中で人材を雇用しながら、常に改正される各国の労働法にすべて準拠するには、どうすればいいでしょうか。

各新規市場において、専門的な人事部門を持つ完全所有の現地法人を設立する代わりに、EORを利用すれば、費用対効果が高く、スピーディで安全な代替手段として、国境を越えたチームの成長を支援してくれます。

EORを利用すべき場合

(ルーマニアやその他の国における)グローバル雇用の拡大に伴う複雑な業務を管理するプロセスが確立されていない企業にとって、RemoteのようなEORは即効の解決策となります。

RemoteのEORサービスでは、現地の雇用専門家が、魅力的な福利厚生制度、法令を遵守した雇用契約、応募者に競争力のあるオファーを作成するうえで必要な情報を提供します。

以前、EORを利用すべき場合についてまとめたガイドを作成しましたが、EORを利用することでリスクを大幅に軽減できる重要な作業は、以下のとおりです。

  • 競争力があり法令を遵守しているグローバル福利厚生制度を構築する

  • 最も安全でシンプル、かつ効率的な方法で福利厚生の支給を管理する

  • 複数の国における従業員への給与処理を設定する

  • 現地の規則に従って従業員を解雇する

  • リモート従業員が作成した知的財産と特許を保護する

国際雇用の複雑な業務はRemoteなどのEORに管理を任せられるので、安心です。

Remoteのシンプルなソフトウェアハブと、グローバルHR専門家チームを組み合わせることで、すべての細かい作業を整理して分散型チームを管理できます。

Remoteが国際雇用を簡素化し、分散型チームをスピーディに拡大できる仕組みをご覧ください。

グローバル福利厚生ガイドをダウンロードして、優秀なグローバル人材を獲得

RemoteのグローバルHR専門家が、世界の優秀な人材を引き付け、維持するために、現地の状況に合わせて法令を遵守した福利厚生制度の構築に関する実践的なアドバイスを提供します。

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