EOR・PEO 13 min

EORを利用すべき場合と、選ぶべきEOR

執筆者: Rhiannon Payne
2024年8月5日
Rhiannon Payne

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現在、リモートワークが増えており、在宅勤務者は毎年1~3%増加しています。世界中の雇用主がこのトレンドに乗じています。企業は優秀な人材を調達し、理想のチームを組むために、海外に目を向けています。

しかし、海外での雇用には課題が伴います。効果的なオンボーディング、コンプライアンスリスク、国際給与処理、そして海外税務など、克服すべき課題が数多くあります。

では、採用担当者はどうすればいいのでしょうか。多くの採用シナリオでは、Employer of Record(またはEOR)との提携が最も簡単なアプローチです。EORは企業に代わって最大の課題に対処します。

本記事では、EORの定義、EORを利用するメリット、自社に適したEORの選び方について説明します。

EORとは

EORとは、採用したい人材がどこに在住するかに関わらず、合法的かつ効率的に雇用できるようにする組織です。

海外雇用を行う企業

EORは企業に代わって雇用主としての役割を果たします。通常、海外従業員の雇用、コンプライアンス要件、給与、福利厚生などを管理します。このため、海外人材を雇用する際のコストや煩雑さを最小限に抑えることができます。

企業にEORが必要な理由

大抵の企業は、適切にグローバル雇用を行ううえで必要なリソースや専門知識を持ち合わせていないため、ミスが起きるとかなりのリスクが伴います。

人材ブランディングと雇用の専門家であり、世界トップクラスのスタートアップでキャリアを積んできたSean Page氏も同じ見解を示しています。同氏によれば、

「(グローバル雇用は)リソース集約型のプロセスです...綿密な計画を立て、特定の国で現地法人を設立するための知識を持つベンダーを確保し、IT、財務、人事、人材、法務の各チームが足並みを揃えるには、最低でも6か月はかかります...前職では、特定の国や地域で複数の人材募集が生じるとわかるまでは、現地法人の設立すら通常は行われませんでした」

経営資源に余裕のある企業にとって、現地法人を設立しても、時間や資金の有効活用にならない場合があります。雇用を希望する国にすでに現地法人を持つEORとの提携は、多くの場合、手続きが短時間で済み、費用対効果に優れています。

たとえば、Remoteは数十か国に現地法人を持つEORです。すべてのサービスが一律の低料金に設定されており、 追加料金や前払金が求められることはありません。透明性の高い価格設定に対するRemoteのアプローチについては、適正価格保証制度で詳しく説明しています。

コスト削減とグローバル雇用の煩雑さの軽減はEORのメリットですが、それだけではありません。採用担当者は、海外人材を誤分類しないように注意する必要があります(これについては後述します)。

こちらもご覧ください: 従業員を契約社員に誤分類した場合の影響

アメリカン航空、ヒルトン、ファイザーなどの企業で採用業務を担った経験のある人材獲得の専門家、Christy Zajack氏は、次のように説明します。

「労働法というものは、非常にわかりにくかったり、実際の運用が(書面上と)異なっていたり、裁判で判決が出るまで定義が不明確であったりすることが多いのです」

労働時間、時間外労働、解雇、居住地、職場、給与、税金に関する法律は、雇用主が他国で雇用する前に考慮すべき事柄のほんの一部に過ぎないとZajack氏は指摘します。

EORを利用することで、企業はグローバル採用に特化した雇用法専門の弁護士やビジネス専門家の知見を活用できます。

つまり、社内の人材専門家は、複数の国で法改正が行われても、その対応に追われずに済むということです。そのかわり、優秀な人材の獲得や確保など、本来の業務に集中できます。

EORの3つのメリット: EORを利用する理由

採用担当者がEORと提携することで得られるメリットについて、見ていきましょう。

1. 規制遵守の簡素化

EORを利用することで、現地の法律、税制、雇用基準を確実に遵守できるようになります。現地の専門家がこれらのコンプライアンス基準の管理を代行することで、ペナルティや罰金のリスクを軽減し、法令を遵守しながらスムーズにグローバル業務を行うことができます。

Remoteを例にとって見てみましょう。当社のグローバル人事専門家によって、従業員が所在するすべての国でコンプライアンスを確保できます。

Remoteのユーザー企業によるグローバル社員と契約社員の雇用

現地雇用に関する法律から給与処理の規則まで、Remoteがプロとしてグローバル雇用をお手伝いします。

2. コスト削減

新しい国での法人設立や維持にかかる時間、コスト、労力を考えると、かなりの負担になります。人事業務をEORに外注することで、コスト削減が可能になり、その分だけビジネスの他の分野に資金を投入できます。

また、EORを使用することで、企業には継続的な維持作業が不要になり、時間的な負担も軽減されます。企業が業務をEORに委託すると、EORは煩雑な作業に対応してくれます。これで、企業はグローバルチームを適切に管理するなど、ビジネスの他の分野に集中できるようになります。

3. 従業員体験の向上

定着率を高め、新入社員の満足度を維持するには、海外採用者向けの効率的なオンボーディングプロセスを構築する必要があります。

そこで、EORが役立ちます。新入社員がどこで働いていても、すばやく効率的に新入社員をオンボーディングできます。さらに、EORは給与処理を行うこともできるため、現地通貨でタイムリーに給与支給を実行できます。

EORは何が違う?

多くの採用チームは、人材派遣会社、給与処理会社、専門雇用主組織(PEO)との提携経験がありますが、こうしたプロバイダーはEORとは異なります。

自社のビジネスに最適なソリューションを決定する際には、その違いを理解することが不可欠です。では、EORと他のソリューションとの違いを見ていきましょう。

EORと給与処理会社: 両者の相違点

給与処理会社は、給与支給義務や年末調整の会計処理を自動化するソフトウェアサービスを提供しています。中には、限定的な人事サービスを提供している給与処理会社もありますが、世界各国の顧客企業に代わって従業員を雇用する体制は整っていません。

EORサービスは、海外雇用を希望する企業にとって、給与処理会社が提供できるサービスをはるかに超えています。給与処理会社が主に財務サービスを提供することに対して、EORは従業員が就労する国のコンプライアンス、給与、福利厚生管理に関連するすべての業務に対応します。

EORとPEO: 両者の相違点

PEO(専門雇用主組織)とは、給与処理や福利厚生などの業務を代行する外部委託された人事部門のことです。表面的にはEORが提供するサービスとよく似ているように見える場合もありますが、大きな違いがあります。

PEOを利用する場合、企業は雇用を希望する国で現地法人を所有する必要があります。さらに、企業とPEOの両者が同時に人材を雇用する共同雇用契約を結ぶことも求められます。

PEOとEORの相違点について詳しくは、過去の記事をご覧ください。

EORと契約社員: 両者の相違点

契約社員とは、特定の仕事を遂行するために契約を結ぶ、スキルを持つ個人のことです。契約社員のみを採用する予定であれば、海外で契約社員を採用するために独自の現地法人を設立する必要はないため、EORは必要がない場合もあります。

しかし、他国で従業員を雇用する予定がある場合は、EORが必要になります。 また、従業員とフリーランサーを併用する予定がある場合には、EORが両方の管理をサポートし、複雑なチーム管理の負担を軽減できます。

在宅勤務中のIT系契約社員

EORと人材派遣会社: 両者の相違点

人材派遣会社は、企業と人材のマッチングに重点を置き、通常、一時的または中期的な雇用ニーズに対応します。人材ネットワークを提供し、履歴書を確認し、候補者と採用担当者の間で連絡を取り、双方からフィードバックを収集します。

EORとは異なり、顧客企業に代わって実際に従業員を 雇用することはできません。

EORは、雇用契約の管理を含め、顧客企業の雇用プロセス全体を管理します。給与、税金、福利厚生、コンプライアンスなどに対応します。つまり、EORは従来の人材派遣会社よりもはるかに幅広いサービスを提供しているということです。

EORを利用して安全に海外雇用を

初めてグローバル雇用を行う場合は、EORが最も安全で手軽なソリューションです。完全リモートワーカーの雇用、ハイブリッドチームの雇用、海外展開拠点での雇用など、EORは雇用プロセスを通じて企業を守るパートナーとしての役割を果たします。

EORが企業を守る仕組みについて、詳しく見ていきましょう。

誤分類や現地の労働法に関するその他の手違いを未然に防止

初めて海外雇用を検討している人事マネージャーや採用担当者にとって、現地の労働法の理解はおそらく最大の難関でしょう。

そのため、人材を従業員としてではなく、契約社員として採用する企業もあります。しかし残念ながら、この過ちは大きな代償を払うことになります。例を挙げて説明しましょう。

福利厚生の対象となる従業員が、契約社員に誤分類されたとします。従業員への支給総額に加え、従業員の税金や社会保障関連の福利厚生を遡及して支払うことで、企業に多額の損害を与える可能性があります。

また、具体的な状況や誤分類された労働者の居住国によっては、罰金や利息、その他のペナルティが科される場合もあります。

EORの利用は、企業にとって、誤分類された労働者を従業員に切り替え、こうしたペナルティを回避できる、簡単で費用対効果の高い方法です。

こちらもご覧ください: Remoteの誤分類リスク判定ツールを使用して、従業員と契約社員を正しく分類する

海外従業員雇用チェックリストをダウンロード

国境を越えて従業員を採用するにあたって法令遵守を維持するために、このチェックリストをご確認ください。

A tablet displaying a global payroll platform for distributed teams.

誤分類のリスクだけでなく、海外の労働法改正を常に把握することは、多くの人材・人事担当者の職務範囲外です。その代わり、従業員の居住国で法律が変更されると、EORが速やかに通知し、企業に代わって変更を行います。

現地法に準拠した福利厚生制度を策定

優秀な人材を確保するためには、提供する福利厚生制度に競争力を持たせる必要があります。そのためには、補完的な従業員福利厚生を含め、地域の労働者が求める期待を理解することが重要です。

そこで役立つのがEORです。EORなら、福利厚生制度を雇用を希望する国の慣例に合わせるだけでなく、法定福利厚生や補完的な福利厚生も考慮し、現地法に確実に準拠させることができます。

効率的な解雇管理

どの国にも、解雇に関する独自の法律が存在します。たとえば、米国では雇用は「自由意志による雇用」に基づいており、従業員はいつでも解雇される可能性があります。 しかし、チェコ共和国などでは、従業員の解雇には2か月の通知期間が必要です。

これらの要件に従わない場合、高額な国際訴訟に発展する可能性があります。

解雇予告期間や退職金に関する条項を盛り込んだ雇用契約書を作成する際には、各国の解雇に関する規定を十分に理解しているEORが不可欠です。EORはまた、顧客企業の機密データや知的財産の保護など、解雇後の問題管理を支援できます。

自社の知的財産を保護

知的財産の所有権に関するリスクは、企業が他国で従業員を雇用する際に考慮すべき極めて重要な事項です。知的財産権に関する法律は、一国内だけでも十分に複雑です。複数の国が加われば、すぐに所有権の問題が生じます。

こちらもご覧ください: リモートチームにおける知的財産権と発明権

EORは、現地の法律専門家と提携するか、自社の法律専門家を雇用して知的財産の譲渡を処理します。

たとえばRemoteでは、すべての顧客企業はRemote IPガードによって保護されています。 この強固な知的財産権保護サービスを利用すれば、海外雇用の際、知的財産権を最大限に保持できるようになります。 IPOや買収など、大きな金融イベントを控えている企業は、知的財産について特に注意する必要があります。

海外雇用を一元管理

RemoteのようなEORと提携することで、雇用に必要な書類を一元管理できます。 これにより、従業員の情報を管理しやすくなり、一目で確認できるようになります。

また、EORは、解雇された従業員に関する文書の保持を含め、企業の記録保持が確実に現地の要件に合致するようにします。EORの価値を考えてみると、記録の管理や保存がしやすくなることは、他にも多数あるメリットのひとつにすぎません。

Remoteの労働者管理ソフトウェアの画面

link to 海外従業員への給与支給方法

海外従業員への給与支給方法

海外従業員の給与処理に適切な方法を選択することで、時間を節約し、現地の法律を遵守し、従業員の満足度を維持できます。

適切なEORを選ぶには

海外雇用のニーズに対してEORが最適であると判断した場合、次のステップは適切なEORパートナーを選ぶことです。

優良なEORから期待できること

適切なEORは、グローバル人事ソリューション、給与シミュレーション、オンボーディング、給与承認、福利厚生、現地の税金などに対応でき、すべてを一元管理できます。

しかし、これは優れたEORが顧客に提供できるサービスのほんの一部に過ぎません。データ保護やコンプライアンスを含むセキュリティも、知的財産の保護と同様に不可欠です。

そのEORが裏で企業のビジネスをどのように処理するのかを理解するようにしましょう。従業員は、居住する国や就労する国を問わず、質の高い企業体験を得る資格があります。信頼できるEORは従業員の体験を重視し、従業員が自分の価値を実感できるようにサポートします。

自社の現地法人を所有するEORとの提携が重要な理由

さまざまなEORを評価する際に理解すべき最も重要な点のひとつは、そのEORが事業を展開している国に現地法人を所有しているのか、それとも第三者機関のネットワークに依存しているのかという点です。

別の国で新しい従業員を雇用するとします。

  • パートナーシップ主体型EORは、正しい情報を得るために、一連のベンダーを経由しなくてはなりません。この作業の完了には何日もかかる場合があり、さまざまな当事者との間で生じた伝達ミスにより、複雑な事態が生じることも考えられます。このため、EORサービスも割高になります。多くの仲介業者が関与することで、全員が利益を得ようとするためです。

  • 一方、所有法人型EORは、企業が雇用を行おうとする国で法人を設立しています。雇用プロセス全体をコントロールし、グローバル従業員を管理できるため、摩擦やコストが少なく、結果としてチームは優れた体験を得られます。

オンボーディングの手順

パートナーシップ主体型EORと所有法人型EORとの相違点については、こちらのガイドを参照してください。

契約前にEORに確認すべき点

EORと提携する前に、いくつか確認すべき点があります。

  • この国で現地法人を所有しているか、それとも第三者を利用しているか?注意: 中には、ある場所では現地法人を所有し、別の場所では所有しないEORも存在するため、従業員は混乱しがちです(また、企業にとっては信頼できない価格設定となります)。

  • 知的財産の譲渡や保護は行っているか?EORが知的財産の譲渡をどのように処理するかについて、しっかり質問してください。最良のEORは、その国の法律が知的財産にどのように影響するかを熟知しており、権利を保持するために必要な手続きを把握しています。

  • 従業員データを第三者と共有しているか?この場合も、第三者を利用しているEORは、多数のパートナーを抱えています。その多くのパートナーにはさらに提携先があり、企業のネットワークが形成され、あなたの機密データにアクセスする企業が増える可能性があります。

  • すべての文書と情報は、1つのソフトウェアハブに集約されているか?EORはバックエンドで難しい法律業務を処理しますが、ユーザー体験も重要です。必要な情報を一元管理できるかどうか、ソフトウェアを試用してみてください。

上記の質問に対する回答を得ることで、海外雇用のニーズに対してどのパートナーを信頼すべきかを正しく判断できます。

グローバルチームに最適なEOR

EORを利用することで、海外雇用プロセス全体を効率化できます。現地の規制を遵守し、グローバル従業員にシームレスで効率的なオンボーディング体験を提供できます。

ここまで、EORを利用すべき場合や、自社のビジネスニーズに最適なEORを探す方法についてご理解いただけたと思います。では、次にすべきことは何でしょうか。

RemoteのようなEORと提携することです。

Remoteは、海外チームが数回のクリックでグローバル人材の雇用、給与支給、オンボーディングを行えるよう支援し、企業が手続きのすべての段階で常に法令に遵守できるようにします。Remoteは事業を展開するすべての国で現地法人を完全所有しています。このため、企業もチームも、常に最高のサービスを受けることができます。

今すぐRemoteの利用を開始して、1人目の従業員を数分でオンボーディングしましょう。

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