日本 — 10 min
日本から従業員を雇用することで、特にアジアでの事業拡大を目指す際に、チームに多様な人材を迎え入れることができます。日本には、堅調な経済、低い失業率、優秀な人材など、事業を展開するうえで有利な環境が整っています。
しかし、日本や他の国での採用を行う際には、現地の税法や雇用法を遵守する必要があります。日本の労働法は非常に複雑であるため、税務やコンプライアンス実務について十分に理解を深める必要があります。
日本の労働法に違反した場合、ビジネスに深刻なリスクをもたらし、多額の罰金や重い処罰が科される可能性があります。日本でのリモート雇用はハードルが高いと思われがちですが、そんなことはありません。Remoteのようなグローバル雇用サービスは、日本の法律の遵守を支援することで、このプロセスを簡単にできます。
この参考ガイドでは、日本の雇用法の概要のほか、Remoteのグローバル雇用サービスを利用することで、コンプライアンスを確保しながらグローバルにビジネスを展開する方法についてご説明します。
企業が日本の労働法を常に遵守するには、関連する雇用法を十分に理解する必要があります。日本の従業員は主に次の3つの法律で保護されています(他にも複数の法律があり、雇用のさまざまな面に影響を及ぼしています)。
労働基準法(LSA): 最低賃金、差別禁止法、有給休暇の取得など、日本における従業員の権利に関する一般的な法律を規定しています。
労働組合法(LUA): 従業員の団結権を保護し、日本における労働条件の基準を定めています。この法律を通じて従業員は雇用者に対し、労働者の団体交渉に関する特定の要求を満たすよう求めることができます。
労働関係調整法(LRAL): 労働組合法とともに機能し、雇用者と従業員が労働紛争を解決するための枠組みを提供します。
地域によって最低賃金要件が異なることを除き、日本の雇用法は全国レベルで制定され、上記の法律の下で保護されています。
日本で従業員を雇用しようと考えている企業は、日本で法人を設立するか、Remoteのようなグローバル雇用パートナーを利用する必要があります。以下は、雇用主が国外在住の従業員を雇用する際に使用する3つの主な方法です。
現地法人を設立する。最初の方法では、日本に現地法人を設立する必要があります。これには多大なリソースと時間、現地の専門知識が必要なだけでなく、雇用チームはコンプライアンスの確保に全責任を負うことになります。とはいえ、現地法人の設立は、日本でチーム全体を雇用したり、長期的に日本で事業を展開することを計画している企業にとってメリットがあります。
専門雇用主組織(PEO)と提携する。この方法でも日本法人の設立は必要ですが、提携するPEOと共同雇用契約を結ぶことができます。つまり、オンボーディング、給与、福利厚生など、海外雇用の多くの面を管理することはできますが、PEOはすべての責任を負うわけではありません。この方法は、日本で大規模なチームを雇用する予定があり、コンプライアンスを確保するために現地の労働規制に関する専門的な知識は必要であっても、現地在住の従業員を雇用する管理プロセスには対応したくない場合に有効です。
EOR(企業に代わり、法令を遵守しながら給与計算や福利厚生の提供、納税申告などの人事業務全般を担うサービス)と提携する。RemoteのようなEORと提携することで、海外でも短期間でコンプライアンスを確保しながらチームを成長させることができます。Remoteのグローバル雇用サービスを利用すれば、日本に現地法人を設立する必要はありません。Remoteが、従業員の雇用、給与支給、管理を代行します。
Remoteと提携すると、日本の雇用法に詳しく、現地での経験も豊富な専門家チームの知識を利用できます。つまり、すべての国と地域の雇用法に対応できるようRemoteがサポートをするため、企業は安心してコンプライアンスを確保し、変化する労働法に関する最新情報を常に入手できます。
Remoteの従業員コスト計算ツール(無料)を使用して、日本と世界の従業員の雇用コストを把握しましょう。当社の使いやすいツールは、法定福利厚生や保険料を含む、日本での雇用にかかる費用の内訳を表示し、簡単にグローバル雇用の予算と計画を立てることができます。
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自社の所在地がどこであろうと、従業員は各自の居住国に存在する法律や規制の下で保護されていることを覚えておく必要があります。日本で従業員を雇用する場合、日本における従業員の法定権利に注意する必要があります。
日本の最低賃金は都道府県によって異なり、3つのカテゴリー(カテゴリーA、カテゴリーB、カテゴリーC)に分類されています。東京や大阪のような大都市を含むカテゴリーAの都道府県は、最低賃金が高めです。日本の最低賃金には、地域によって時給790円から1,113円まで幅があります。
日本では通常、1週間の労働日数は5日で、1日の労働時間は8時間です。したがって、労働時間が週40時間を超える場合は、時間外手当の対象となります。ただし、時間外労働の上限は月45時間までとなっています。
日本の時間外労働手当は以下のとおりです。
標準時間外労働手当: 時間あたり25%の割増
深夜時間外労働手当: 時間あたり50%の割増
休日時間外労働手当: 時間あたり35%の割増
休日深夜時間外労働手当: 時間あたり60%の割増
日本の雇用主は試用期間を設けることができ、その間に従業員が適した人材かどうかを評価できます。日本における試用期間は3か月から6か月間です。
日本の従業員は、さまざまな差別禁止法に規定されているように、差別から保護されています。保護対象となる項目は以下のとおりです。
性別
信条
国籍
社会的地位
年齢
障がい
労働組合の結成
介護休暇中の個人
育児休暇中の個人
日本の従業員は労働組合法に基づき、団結権を有します。
日本では労働組合が合法化された結果、雇用者が従業員と団体労働協約を締結することが一般的です。
日本では一般的に、従業員に対して薬物検査は行われておらず、雇用主には従業員に薬物検査を義務付ける法的権利はありません。ただし、雇用主は、以下の状況において従業員に薬物検査の実施を求めることができます。
従業員が薬物検査に同意している。
従業員のプライバシーに関する基本的権利が尊重されている。
従業員の役職上、薬物検査を実施する必要がある。
雇用主は、従業員全員を労災保険に加入させることが義務付けられています。業務上の事故が発生した場合、従業員は以下の福利厚生を受けることができます。
医療費
有給休暇
従業員が業務上の事故により障害を負った場合の補償
業務上の事故により従業員が死亡した場合の遺族補償
支持療法の継続
上記の法定雇用権利に加え、雇用主は海外でリモート従業員を雇用する際、その国特有の考慮事項を遵守できるよう準備する必要があります。日本で雇用する前に考慮すべき点は、次のとおりです。
日本在住の従業員の就業時間帯(日本時間)は他の地域と大きく異なる場合があります。チームメンバー間の時差は、プロジェクトの納品やコミュニケーションの遅れなど、通常業務に支障をきたす場合があります。
日本ではほとんどが日本語話者です。応募者は他の言語も扱える場合がありますが、雇用主は言葉の壁が生じる可能性に備える必要があります。
雇用主は、従業員の賃金が勤続年数に応じて上昇していく仕組みである、国の年功序列の給与体系を遵守することが求められます。
雇用契約で定められたオフボーディング(離職)手続きを遵守することに加え、雇用契約を終了する際には、日本の雇用法を遵守する必要があります。
日本における従業員のオフボーディングに関する以下の規制について考慮するようにしてください。
日本には、随意雇用は存在しません。つまり、雇用主には雇用契約を終了する理由がなければなりません。以下の理由により、雇用主は従業員との労働関係を終了することができます。
従業員が病気や障害などにより、本来の職務を遂行することが物理的に不可能となった。
従業員が職務を適切に遂行していない、または故意に社内規程に違反している。
解雇により雇用契約が終了する。この場合、次のような事象によって契約の終了が認められます。
雇用主が経営難に直面し、人員削減を余儀なくされている。
解雇する従業員を区別して選ばなければならない。
雇用主は、法的に保護されたすべての通知と退職の要件を遵守している。
日本で合法的に従業員を解雇するには、上記の要件を満たすことに加え、雇用契約書に別段の定めがない限り、雇用主は従業員に対し、契約終了の最低30日前に通知することが義務付けられています。
この通知期間は、従業員が容認できない行動により解雇された場合は免除されます。また、従業員はこの通知期間の放棄を選択できますが、雇用主は通知の代わりに30日分の給与を従業員に支給する必要があります。
日本では、解雇された従業員には、退職金を受け取る権利がありません(30日前の通知手当を除く)。退職金の支給は、雇用主の裁量に委ねられています。退職金を受け取る権利があるのは、退職した従業員のみです。
従業員を契約社員に誤分類するという事案は、海外雇用主にとって最も重大なリスク分野の1つです。雇用関係を定義する基準は国によって異なり、自国のガイドラインでは契約社員とみなされる労働者が、日本では実際には従業員とみなされる場合もあります。
日本における契約社員と従業員の違いについては、以下の点を考慮するようにしてください。
日本では、労働基準法(LSA)が、従業員と契約社員の違いを定義しています。日本の規制によると、企業が労働者と結ぶ雇用関係の種類は、以下を含む複数の要因に応じて決まります。
労働者が選択した労働対象のプロジェクトを自ら管理できるかどうか
労働者に雇用期間が定められているかどうか
労働者が特定の雇用者の規定に従う必要があるかどうか
労働者が作業の完了に基づいて報酬を受け取るかどうか
労働者が自分の仕事を他人に委任できるかどうか
日本で契約社員と提携すると雇用主が有利になる主な点は、契約社員には従業員と同じ法定福利厚生を受ける権利がないことです。
つまり、雇用主は、雇用契約の締結や、労働基準法が定める従業員保護条項の遵守は求められません。ただし、雇用主は労働者がいつ、どのように業務を完了するかを管理できないため、勤務形態は相互に制限されることになります。
雇用主は、日本在住の人材を有期契約で雇用できます。有期契約は、就労の始期と終期が明確であるため、有期契約者は他の従業員と同じ福利厚生を受ける権利を有しますが、雇用主は、無条件で有期契約者を解雇しやすくなります。
しかし、雇用主は、日本の有期従業員にはより多くの権利が与えられていることを考慮すべきであり、雇用主は、以下を含む、有期従業員を保護するすべての関連する雇用法を常に遵守する必要があります。
時間外労働手当
契約が早期終了した場合の退職金支給
一定期間勤務後の有給休暇付与
一定期間雇用後の社会保険料
日本では、従業員を契約社員として誤分類すると、ビジネスに重大なリスクをもたらすおそれがあります。雇用主は従業員に対して相当額の未払い賃金を支払う義務が発生し、さらに訴訟問題に発展する可能性もあります。
従業員を誤分類した場合、日本の雇用主が直面する以下のような最大限のペナルティを考慮するようにしてください。
従業員の誤分類に起因する刑事罰は、30万円の罰金または6か月以下の懲役となる可能性があります。
従業員の誤分類に起因する税務上のペナルティは、追加利息を含め、最高10%の追徴課税となる可能性があります。
従業員の誤分類に起因する社会保障上のペナルティは、50万円の罰金または6か月以下の懲役となる可能性があります。
こうした経済的な制裁に加え、短期間の懲役が科される場合もあります。
従業員の誤分類は非常に深刻に受け止める必要があります。誤分類のリスクを回避する最善の方法は、従業員を正しく分類し、コンプライアンスを推進できるグローバル雇用パートナーと提携することです。
海外従業員を誤分類した場合に発生する可能性があるペナルティの詳細については、Remoteの「従業員の誤分類ガイド」をご覧ください。
日本でリモート従業員を雇用すれば、ビジネスに多様性と優秀な人材が加わり、企業はグローバルに成長できます。しかし、税法や労働法に対応できる、地域に関する専門知識がなければ、海外雇用は困難でリスクが高いものになりかねません。
日本で雇用する場合、以下を行う必要があります。
チームを雇用し、給与を支給するために、現地法人を設立するか、専門雇用組織(PEO)またはEORと提携するかを決定する。
雇用法、税務、規制について十分に理解する。
標準労働時間、最低賃金、有給休暇、時間外労働に関する法定雇用要件を遵守する。
日本在住の従業員を契約社員として誤分類しないようにする。
しかし、Remoteのようなグローバル雇用パートナーと提携し、海外チームを簡単に管理・拡大するのであれば、海外雇用は煩雑な手続きではありません。
Remoteの雇用専門家チームは、企業が常に現地の規制に準拠できるようにサポートします。さらに、Remoteは、従業員と契約社員のグローバル雇用における、オンボーディング、税金、福利厚生、給与、従業員のオフボーディングなど、あらゆる管理面に対応できます。
日本でフルタイム従業員の雇用にかかる費用を把握するには、無料の従業員コスト計算ツールをご利用いただけます。日本での雇用に関する詳細については、国別ガイドページをご覧ください。
参考文献
National Labour Law Profile: Japan
Employment and Labour Laws and Regulations Japan
An Overview of Employment Law in Japan
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