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海外の従業員にストックオプションを提供するには

執筆者: Roderick van Vliet
2023年10月10日
Roderick van Vliet

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ESOP(従業員持株制度)やストックオプションなどの株式インセンティブは、優れた人材を引き付け、定着させるためのパワフルなツールですが、海外の従業員にストックオプションを提供するまでのプロセスは手間がかかる場合があります。

国際的なチームにストックオプションを提供することのメリットを活かすためには、効果的な戦略を立て、実行に移さなければなりません。つまり、従業員の居住地、従業員の税の処理方法、より幅広いグローバル給付制度のあり方を考慮に入れる必要があります。

この記事では、海外の従業員にストックオプションを付与する方法について説明します。重要な定義や実践的な手順を解説し、チームに自社の株式を共有する際によくある質問にお答えします。

ESOP(従業員持株制度)かストックオプションか

本題に入る前に、ESOP(従業員持株制度)とストックオプションの違いを理解することが重要です。

ESOPの場合、従業員は一般に、受け取る株式に対して何らの支払いも行いません。また、ESOPは退職金として使われるように設計されるケースが多く見られます。

これに対し、ストックオプションでは一般に、決められた価格(権利行使価格と呼ばれます)で株式を購入する選択権(オプション)が受取人に与えられます。その株式の市場価値が行使価格よりも高くなった場合、従業員は株式を売却して利益を得ることができます。結果として、ストックオプションは、どちらかといえば短期のインセンティブとなります。

米国では、これらの用語がやや混同されています。多くの人が、実際は株式インセンティブ制度なのにESOPと呼んでいるからです(その逆も見られます)。

そこで、この記事ではストックオプションを中心に解説することにします。ストックオプションは、米国で(特に中小企業の場合)最もよく見かける株式インセンティブだからです。ESOPの詳細については、こちらのガイドをご覧ください。

ストックオプションの仕組み

一番シンプルな形のストックオプションは、次のような仕組みになっています。

  1. 各従業員に一定数の株式を割り当て、所定の行使価格で買い取る選択権(オプション)を付与します(ESOPの場合、従業員は一般に株式を購入する必要がありません)。

  2. 従業員が付与の条件を満たした場合(すなわち、一定のパフォーマンス指標に到達した場合、または権利確定スケジュールが満了した場合)、その従業員は選択権を行使するかどうかを決定できます。

  3. 株価(すなわち、株式の現在の市場価値)が権利行使価格より高ければ、従業員はその株式を売却し、利益を得ることができます。

例えば、貴社が、1株あたり10ドルの権利行使価格で、新入社員に1,000株を付与したとします。権利確定スケジュール(一般に4年前後)が満了した時点で、従業員は選択権(オプション)を行使し、自社株を1万ドル(10ドル x 1,000株)で購入します。

この時点で、株式の市場価値が1株あたり20ドルだったとします。この従業員は、この価格で全株式を売却し、2万ドル(20ドル x 1,000株)の収入を得ました。つまり、従業員は1万ドルの利益を得たことになります。

海外の従業員にストックオプションを付与するメリットとは

すでにお伝えしたように、海外で採用した人材にストックオプションを提供することは、優秀な人材を引き付け、定着させるための優れた方法です。さらに、ストックオプションはパフォーマンスを高める誘因にもなります。会社の業績が良好であればストックオプションの価値も上がり、従業員にもメリットがあるからです。

特に外国人労働者にとっては、ストックオプションが他の雇用主との差別化に役立つため、非常に有効です。多くの企業は、海外の従業員に株式を提供する方法を知りません。したがって、お客様が株式を提供できるとなれば有利に働きます。

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ストックオプションの種類

海外チームメンバーにストックオプションを提供し始める前に、どのタイプが最適か、そして最も重要なのは、チームメンバーがそれを受け取る資格があるかどうかを確認する必要があります。

これは、株式報酬がすべて同じではないからです。例えば、ほとんどのストックオプション制度では、従業員は株式を所有する前に購入しなければなりませんが、従業員株式購入制度(ESPP)の場合、従業員は定期的に割引価格で自社株式に投資することができます。一方、ストックアワードはインセンティブとして従業員に無償で付与されます。

以下に一般的なストックオプションを挙げます。

インセンティブストックオプション(ISO)

ISOは、米国で税制上の優遇措置があるストックオプションの一種で、雇用主から直接発行されます。ISOを付与できる対象は従業員のみです(投資家その他のパートナーには付与できません)。

ISOの発行者は、受取人の直接の雇用主でなければならないという点に注意が必要です。したがって、Employer of Record (EOR) を介して人員を雇用している場合は、ISOを発行できません。

非適格ストックオプション(NSO)

米国において、NSOは税務上、ISOとは異なる扱いを受けますが、ISOとは異なり、EORを利用すれば、海外の労働者にNSOを提供することが可能です。したがって、海外の従業員も、国内の従業員と同じように合法的に貴社の株式を受け取ることができます。

NSOは、海外のチームメンバーに株式を提供する最も一般的な方法です。

法人経営陣インセンティブ制度(EMI)

EMIは、英国で提供されているストックオプションの一種です。政府によって支援されており、小規模企業や成長中のスタートアップ向けに特化して設計されています。

雇用主にとって、EMIは柔軟性が高く、非常にカスタマイズしやすい制度です。権利の付与や行使に対して所得税は課税されませんが、特に大企業に対しては厳しい適格基準が設けられています。

グローバルチームに株式報酬を提供する方法

複雑なコンプライアンス上の課題を解決し、従業員の拠点を問わず、ストックオプションを簡単に提供する方法をご紹介します。

海外の従業員にストックオプションを付与する際の重要な検討事項

当然のことですが、ストックオプションを提供する際には、課税、源泉徴収、申告、社会保険その他、コンプライアンス上、注意を要する懸案事項が多数存在します。

大まかに言えば、制度を構築する際に考慮すべきポイントは次の3つです。

  1. 雇用主の税金: チームメンバーがいる各国の源泉徴収や申告要件を把握することが不可欠です。これらの国々で正しい申告を行わないと、ペナルティや罰金が科される可能性があります。

  2. 従業員の税: 従業員に税制上の優遇制度を設けている国もありますが、そうでない国もあります。例えば、英国には複数の税制優遇制度があり、それぞれ異なる要件や課税義務があります。

  3. 納税申告義務: いくつもの国の納税申告義務を把握することは困難です。それぞれの国の具体的要件を認識し、外国企業としてそれらの要件を満たす方法を知る必要があります。

現地の労働法

また、現地の労働法を理解し、それが計画にどのような影響を及ぼすかを理解することも重要です。たとえば、株式報酬が業績連動型である場合、問題が発生する可能性があります(特定の業績指標を株式付与の条件とみなすことを禁じている国もあれば、業績を考慮に入れることを全く認めない国もあります)。同じように、企業が株式の代わりに現金を支給することを認めている国もあれば、全従業員が同種の資産を受け取ることを義務付ける国もあります。

特に中小企業や新興企業にとって、こうした税務や労働に関する規制をすべて常に把握しようとしても、作業は非常に複雑で時間がかかります。 このため、企業に代わってすべてを処理するRemote Equityのようなグローバル専門家と提携することを強くお勧めします。

Remote Equityのサービスについて、詳しくはこちらをご覧ください

海外従業員のストックオプションに対する課税

ストックオプションや その他の株式インセンティブに対する課税要件は、国によって異なります。一般に、ストックオプションの取扱いを定めるのは、発行会社が設立された国の法律です。

これらの法律は、法令遵守の要件を定めるだけでなく、企業の納税義務にも大きく影響します。

従業員の居住国の税法

通常、従業員は付与されたストックオプションについて課税されますが、これらの税の内容や課税対象の資産は大きく異なる可能性があります。

税優遇ストックオプションでは、従業員が 株式を受け取る際(または株式を売却する際)に納付する税金を減らすことができます。ISOやEMIなど、特定の種類の株式は、税優遇ストックオプションとみなされる場合があります。

逆に、NSOは税優遇ストックオプションとはみなされません。ただし、ここでも税の優遇措置は国によって異なります。

税の優遇措置の多くは雇用関係によって異なります。場合によっては、EORを利用しながら従業員に株式を提供すると、特定の税の優遇措置を受けられなくなる可能性があります。

また、ストックオプションを受け取った従業員、行使した従業員、売却した従業員には、その都度、税が課される可能性があるという点にも注意しなければなりません。一般的に、従業員はストックオプションを行使した年と売却した年に(通常、それぞれ所得税、キャピタルゲイン税を)納税します。その会社が未上場の場合や、権利行使後に株式が非公開で購入されていない場合は、権利行使の時点での納税が困難な場合があります。これは、従業員が未売却の株式の価値に基づいて納税することになるためです。

海外従業員に提供されたストックオプションのキャピタルゲインとは

海外の従業員の場合、キャピタルゲイン税は居住地に基づいて算定されます。また、キャピタルゲイン税は所得水準によっても変わります。例えば、フランスでは、高額所得者の納税額は多くなりますが、低給の従業員は別の税制を選択することにより、キャピタルゲイン税率を変えられる場合があります。

海外の従業員の権利

居住する国によって異なりますが、一般に従業員は次のような権利を与えられます:

  • 情報に関する権利これは一般に、株式のべスティング期間および公正市場価格に関するデータへのアクセスを意味します。

  • 権利行使の自由従業員が一定期間経過後に株式を行使できるようにすることを義務付ける国もあれば、逆に、特定のべスティングスケジュールの執行を禁止する国もあります。

  • 一定レベルの会社所有権メキシコのように、利益を従業員に分配することを義務付ける国もあります。

グローバルストックオプションプランの作成方法

税務、法務、コンプライアンスに関してしっかりしたサポートが整えば、海外従業員へのストックオプションの提供を始めることができます。海外従業員にストックオプションを提供するための主なステップについてご説明します。

  1. 従業員のためにどれだけの株式を用意するかを決定します。

  2. 法務チームの協力のもとに厳格な制度を作ります。

  3. ストックオプションを提供する必要がある国を特定します。

  4. 契約しているEOR(該当する場合)と相談し、海外で株式を提供する機会を確認します。

  5. 本社が置かれている国の法律を遵守し、制度と株式の公正市場価格を設定します。

  6. 海外の従業員に提供するストックオプションの種類を決定します。

始める準備は整いましたか。Remote Equityにより、海外従業員へのストックオプション提供を手軽に開始できるようになりました。

Remoteを利用するメリット

株式インセンティブ制度をすでに導入済みの企業も、今から始めようとしている企業もRemoteがサポートします。

当社は、次の方法でグローバルな株式インセンティブにおける不確実性を解消します。

  • 株式インセンティブ制度Remoteの専任法律専門家が法的文書を確認し、貴社の制度が法令を遵守しているかどうかを判断するサポートをします。まだ制度を設けていない場合は、公平でインクルーシブな制度を設けるためのベストプラクティスを共有します。

  • 現地の税法税法に詳しいRemoteの専門家チームが、当社が事業を展開するすべての国で、お客様が株式インセンティブを提供した場合の税務上の影響を調査するためのお手伝いをします。

  • 源泉徴収と申告例えば、チームメンバーのうち1人はノルウェーで権利が確定し、別の1名はカナダで権利を行使するとします。必要なことは私たちにお知らせいただくだけです。税金の源泉徴収と報告はすべてお任せください。

スイスなどいくつかの国では、お客様が自社で源泉徴収および申告を行うことを義務付けられる場合がありますが、お客様に必要な手続きはRemoteがきちんとご案内いたしますのでご安心ください。さらに、貴社が事前に計画を立てられるように、チームメンバーのいる地域で課税対象の事象が予定される場合は随時お知らせします。

Remoteの顧客は、自社のストックオプション制度のもとで従業員にストックオプションを提供できますか。

もちろんです。Remoteのお客様は、当社のEORサービスを通じて雇用する従業員に直接ストックオプションを提供することができます。ただし、ストックオプションは各国の規制に準拠した形式(例えば、ISOではなくNSO)で提供される必要があります。

例えば、お客様の本社が米国にある場合、国内の従業員にはISOを提供できますが、EORを使って海外の従業員にISOを提供することはできないため、NSOなど、ISOに代わる形でストックオプションを提供する必要があるでしょう。

従業員福利厚生制度の一環として、Remoteが当社のストックオプションを提供することは可能ですか。

Remoteは、従業員にストックオプションを提供できるようサポートしますが、ストックオプションは、貴社が従業員に直接付与しなければなりません。ストックオプションは金融商品であり、これを合法的に提供・保有できるのは発行会社である貴社だけだからです。

オプション契約にはさまざまな種類がありますが、多くの金融商品は厳しい制限があり、提供、管理、または保持するには特定のライセンスが必要です。企業として特定の金融商品(例:債券やオプション権)を発行することは可能ですが、それによって第三者がライセンスなしで運用する権限を得るわけではありません。

また、ストックオプションは、海外従業員の福利厚生パッケージとは別に扱う必要があります。該当国において自社の現地法人を所有・運営していない場合、Remoteは、NSO(非適格ストックオプション)やその他の株式インセンティブを福利厚生プランとは別の形で提供するお手伝いが可能です。Remoteのサポートを通じて、ストックオプションを自社から従業員に直接提供することができます。

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Remote Equityは、特にスタートアップと中小企業の皆様がストックオプションを手軽に提供できるようお手伝いするため、Cartaと提携しました。

Cartaは、企業や投資家の価値評価、投資、および株式報酬制度の管理をサポートしています。お客様は、Remote EquityとCartaとのパートナーシップを通じて、正確なキャップテーブルの維持、資金調達ツールおよびベンチマークへのアクセス、将来株式取得略式契約スキーム(SAFEの作成および追跡をワンストップで行うことができます。

Cartaのお客様が利用できる独自の機能は多数ありますが、中でも特に価値の高い2つの機能をご紹介します。

  • キャップテーブル管理: Cartaを使用すれば、電子証券を発行したり、資金調達ラウンドを実施したり、409A企業評価を受けたりする際に、キャップテーブルが自動的に更新されます。

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Remoteのお客様は、Carta Launchを無料でご利用いただけます。また、有料プランにアップグレードすると、初年度サブスクリプションが20%割引になりますのでぜひご検討ください。

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