解雇チェックリストの使い方
従業員の解雇には慎重な手続きが必要です。関連法規の遵守から感情面の管理まで、多層的であるため、時には混乱や問題が生じることもあります。
従業員解雇チェックリストは、あなたやチームにとって手続きを始めるうえで重要な出発点です。このチェックリストを使用すると、解雇を明確かつ配慮を示しながら体系的に処理できると同時に、企業を保護することにもつながります。
なお、このチェックリストは、オフボーディングプロセスのみを対象としています。以下の手順以外に、従業員の解雇を決定する際には、(パフォーマンス向上計画、是正トレーニング、または従業員の所在地で義務付けられているその他の手続きを含む)すべての法的要件をすでに満たしていることを確認する必要があります。
従業員に通知する
解雇が決定したら、まず正式な場で本人に直接伝えます。本人への通知は、対面での面談(従業員がリモートワークを行っている場合は、顔が見えるようなビデオ通話)で行う必要があります。正式な文書を送付する前にこれを行うことで、相手を困惑させず、次の手続きに備えてもらうことができます。
正式な通知を行う
従業員に面談などで伝えたら、書面による解雇通知を行います。これが正式な通知となります。状況を明確にし、曖昧な点がないようにします。以下の必要事項をすべて明記してください。
最終勤務日
解雇予告期間および解雇手当の額(該当する場合)
未消化の有給休暇数
従業員が備品やその他の周辺機器を返却する必要があるかどうか
最終給与を計算する
従業員の最終給与が正しく計算されていることを(通知期間分の勤務時間を考慮して)二重に確認します。
支給すべき額は国ごと、米国の場合は州ごとに異なります。たとえば、米国では、従業員に未消化の休暇を合法的に取得する権利が認められている州もあれば、企業ポリシーに準ずるという州もあります。また、一定の条件下で退職金を支払うことを義務付けている国もあれば、義務付けのない国もあります。Remoteは、最終給与の計算に際して、義務付けられた支給額と法的責任の明確化をサポートします。福利厚生に関する情報を提供する
解雇となった場合の従業員の福利厚生について(その場で、またはメールで)説明します。たとえば、従業員が株式報酬制度に加入している場合は、その株式の取り扱いについて説明(あるいは、説明資料を提供)します。
一部の福利厚生(年金や生命保険など)については、福利厚生プロバイダーが情報提供の責任を負います。チームメンバーがRemoteなどのEORプロバイダーを通じて雇用されている場合、福利厚生についてはEORが対応します。退職面接を実施する
既存の従業員や将来の従業員のために職場のプロセスの改善方法を検討できるよう、フィードバックを得る機会を設けましょう。従業員が自ら質問する機会にもなるため、準備を整え、落ち着いて臨む必要があります。
必要であれば、個人の過去の業績評価を参照しながら、経営判断について説明します。解雇が違法行為や有害行為(窃盗、ハラスメント、過失、差別など)の結果でない場合は、当該従業員のために推薦状を書くことを申し出ることもできます。
企業備品の返却を手配する
ほとんどの雇用契約では、企業が所有する備品(ノートパソコン、電話、その他のハードウェア)は返却が義務付けられています。該当する場合は、通知期間の終了後に返却が行われるよう手配します。
従業員がリモートワークで勤務しており、備品の返却が必要な場合は、梱包・発送方法を明確に指示します。従業員に送料の請求書を発行してもらい、その金額を払い戻します。
なお、別段の定めがない限り、従業員は、在宅勤務手当などの福利厚生で購入した備品を返却する必要はありません。このような備品には、事務用の椅子、机、文房具などが該当します。
すべてのアクセス権を無効にする
従業員の最終出勤日が終了したら、ITチームがシステム、メールへのアクセス権、(該当する場合は)物理的な敷地への入退室の権限を取り消します。退職した従業員が有効な認証情報を持ち続けていると、ネットワークにアクセスする可能性があるため、これは深刻なセキュリティリスクになります。
これは特に、円満解雇でない場合に該当します。企業のファイルにアクセスできる悪意を持つ個人が、機密データや極秘データを削除したり、窃盗したり、共有したりすることで、大きな損害を引き起こすおそれがあります。
他の従業員にも伝える
混乱を避け、透明性を確保するには、その従業員が退職することをチームの他のメンバーに伝える必要があります。プロフェッショナルに対応し、従業員の退職理由については公表しないでください。解雇の発表は、従業員が最終日の勤務を終え、アクセス権が取り消された後に行うことが推奨されます。
直接その従業員と働いていた人たちに対して、連絡窓口とガイダンスを提供します。その従業員が顧客やその他のステークホルダーと直接仕事をしていた場合は、相手方にも通知する必要があります。
文書を管理する
将来必要な連絡(納税申告書など)のために連絡先を確保しておき、従業員の在職中および解雇に関するすべての人事関連文書が更新され、適切に保管されるようにします。
Remote HR管理を利用すると、この手順が非常に簡単になります。システム内で従業員のステータスを更新し、解雇の詳細を文書化し、退職に関連するコミュニケーションや文書を安全に保管できます。また、勤怠管理、経費管理、給与管理、福利厚生管理(EORユーザー向け)など、その他の人事機能と完全に統合されているため、管理面でも解雇手続き全体をすばやくかつスムーズに行えます。
これらの文書を一元化し、安全な場所に保管することで、すべての文書に簡単にアクセスできます(なお、Remoteは、関連するすべてのデータ保護法を遵守しています)。
従業員解雇のベストプラクティス
上記のチェックリストには、従業員の解雇に関する手続きを体系的に理解できるよう重要な点が記載されていますが、ケースバイケースで考慮すべき相違点は常に存在します。
したがって、どのような状況であれ、すべてのシナリオに当てはまるベストプラクティスを覚えておくことが推奨されます。原則として、以下の事項を行ってください。
解雇のリスクを常に評価する
プロセスのあらゆる段階で、関連する雇用法や慣行、自社のポリシーを必ず遵守するようにしてください。遵守しないと、特に解雇のリスクが高い場合、法的措置を受けるおそれがあります。
チームメンバーが他国に在住している場合は、その国の解雇に関連する法律を十分に理解する必要があります。また、手続きは従業員ごとに大きく異なる場合もあります。
だからこそ、 RemoteのようなグローバルHRパートナーとの提携が推奨されます。解雇が決定された場合、Remoteは企業から提供された情報に基づいて潜在的なリスクを評価し、現地の労働法の完全遵守を確保します。これにより、企業の法的リスクは大幅に軽減され、離職する従業員にとっても有益な体験になります。
すべてを書面に残す
先述のとおり、文書化は極めて重要です。文書化は「信頼できる唯一の情報源」として機能し、誤解を防げるほか、法的な問題が生じた場合には、証拠として使用することもできます。解雇通知からその後の連絡まで、手続きの全段階を記録に残すことで、企業の安全を守ることができます。
また、文書化は、解雇手続きを通じて透明性と完全性を維持する予防策でもあります。
手続きを標準化する
解雇は個別の事例ごとに状況が大きく異なるため、標準化は難しい場合もあります。また、チームメンバーが他国に在住しており、規制が異なる場合も難しくなります。
しかし、手順の標準化の実施を目指すことで、平等を促進し、バイアスを避けることができます。さまざまな法的義務を果たす必要があるとしても、チェックリストは、全従業員に対する公平な待遇の確保を目標としてください。
Remoteがもたらすメリット
Remoteを利用すると、解雇管理の煩雑な事務作業が不要になります。Remoteの記録上の雇用主は、企業に代わってコンプライアンスを確保しながら解雇を管理します。
給与計算ツールを使用すると、従業員の最終給与を正確に計算でき、無料の人事管理ツールを使用すると、すべての人事管理要件を効率化できます。RemoteのEORプラットフォームを通じて従業員を雇用・管理すれば、Remoteが福利厚生管理も行うため、あらゆる段階で解雇の合法性を確保し、現地法を確実に遵守できます。
Remoteの包括的な人事プラットフォームはチームの負担軽減に役立ちます。詳細をご覧いただき、今すぐ当社の専門家にご相談ください。