日本 — 10 min
特に複数の拠点に従業員を置いている場合、給与処理は複雑で時間のかかる作業になります。遵守すべき法律や税法、管理すべき多くのデータなどが存在しているためです。
したがって、多くの企業が給与処理を外部委託しているか、少なくとも検討しているのは当然のことです。しかし、外部委託はすべての企業に適したアプローチとは限りません。考慮すべき事項は数多く存在しますが、特に重要な事項は、適切な給与処理パートナーを選択することです。
本記事では、給与処理を外部委託する場合のメリットとデメリット、適切なパートナーの選択方法、外部委託のベストプラクティスについて説明します。
それでは、早速始めましょう。
給与処理の外部委託とは、企業の給与処理を第三者プロバイダーに委託することです。こうしたプロバイダーは、次のような給与処理業務を専門に扱っています。
従業員の給与計算
源泉徴収税
給与小切手の発行
関連する現地規制の遵守の徹底
給与処理を外部委託することで、業務の効率化、管理負担の軽減、専門知識の利用が可能になります。
技術を活用すれば、給与処理全体が効率化し、精度も高まります。たとえば、給与処理の最新トレンドには、あらゆる規模のチームをサポートできる技術が数多く登場しています。具体的には、自動化、クラウドベースのグローバルソリューション、データセキュリティの強化などが挙げられます。
さまざまな国でチームメンバーを雇用している(または雇用を予定している)場合、給与計算はかなり複雑化することになります。たとえば、現地の労働法を考慮し、各種通貨で給与を計算する必要があります。
国際給与処理を外部委託すると、通常、世界中の複数の第三者プロバイダーと提携することになるため、コンプライアンス、通貨、コミュニケーションに関して新たな問題が生じる可能性があります。
あるいは、本記事でさらに詳しく説明しますが、Remoteのようなグローバル専門プロバイダーに国際給与処理を外部委託することもできます。
給与処理ソフトウェアは、給与処理を自社で管理する場合に役立つツールです。計算、源泉徴収、給与分配は自動化されますが、そのプロセスは企業が監督します。
一方、外部委託とは、給与処理プロセス全体を他社に任せるということです。委託先が計算から税務申告まで対応し、専門知識を提供し、コンプライアンスを保証します。
従業員や契約社員の満足度を維持するうえで、正確な給与処理は不可欠です。給与処理を外部委託することで、確実な支給とコンプライアンスを実現できます。その他の主なメリットは、次のとおりです。
給与処理プロバイダーはその分野の専門家であり、その業務として、世界中の最新の税法や規制を常に把握しています。社内の小規模なチームにとっては、こうした専門知識の収集は非現実的な要求になる場合もあります。
「もし社内ですべてを調整しなければならないとしたら、法人管理、現地の弁護士、税理士、会計士、給与計算と翻訳サービスのために4人余分に雇う必要がありました。年間50万ドル以上のコストがさらに発生していたでしょう」
- Fountain財務担当VP、Luke McKinlay氏
グローバル給与処理の専門企業に外部委託すれば、時間外労働手当の計算ミスや税務申告書を提出する際の誤記載など、コンプライアンス違反に起因するその他の潜在的なコストも回避できます。外部委託することで、知識豊富な担当者に任せることができ、罰金やペナルティ、風評被害を未然に防ぐことができます。
給与処理は、管理負担が大きく、時間のかかる作業です。特に中小企業の場合、すべての作業を給与処理プロバイダーに外部委託することで、貴重な時間とリソースを節約できます。
このため、人事チームも財務チームも、事業成長や収益化につながる新しい施策の検討、財務戦略の改善など、将来性の高い業務のみに注力できます。
複数の国にわたって給与処理を行う場合、給与、時間外労働手当、税金、社会保障、データ保護に関する規制など、規則が大きく異なる可能性があります。事態をさらに混乱させているのは、こうした法律が頻繁に改正されるということです。一歩間違えれば重大な結果を招きかねません。
外部委託すれば、現地の法域に詳しく、法改正の動向も把握している現地の専門家を利用できます。Remoteのようなワンストップソリューションがあれば、複数のプロバイダーと提携する必要もありません。当社の社内専門家は、現地に常駐しています。1つの窓口からすぐに連絡を取ることができ、必要なときにいつでも支援できる体制を整えています。
何人分の給与計算であっても、ミスや遅延は起きがちです。また、新しい法域を追加すれば、各給与計算の複雑度は倍増します。
給与処理を外部委託することで、ミスやそれに伴う問題を最小限に抑えることができます。グローバル給与処理プロバイダーは専門ソフトウェアを使用し、多くのプロセスを自動化できるため、グローバル給与処理を社内で手作業で行う場合には不可能な、効率化とコスト削減を実現します。
信頼できる給与処理パートナーは、従業員にセルフサービスポータルを提供し、給与明細書や福利厚生を確認したり、該当する場合は税金の詳細を調整したりできます。
これにより、従業員が自分の情報を自己管理できるようになり、人事チームの管理負担が軽減されます。
2者間で金銭が取り扱われ、送金される場合には、常に不正行為のリスクが伴います。また、窃盗だけでなく、従業員の機密データについても考慮し、現地のデータプライバシー法の遵守を徹底する必要があります。
特にセキュリティを強化するためのリソースがない場合、このプロセスには大きな危険が潜んでいます。適切な給与処理パートナーであれば、最新の標準化されたプロトコルの下で従業員データが安全に管理され、不正行為の可能性がないか給与処理が監視されていることを確認できます。
給与計算の外部委託には多くのメリットがありますが、課題も伴います。常に注意すべき点は以下のとおりです。
給与処理を第三者プロバイダーに委託するということは、従業員の詳細情報、税務情報、勤怠記録などの機密データをこのプロバイダーに委ねるということでもあります。
米国など一部の国では、(給与処理パートナーがEmployer of Record(EOR)も兼ねている場合を除き)企業には正しく税務申告を行う責任が残ります。
このため、事前に十分調査を行い、実績があり、信頼できる給与処理プロバイダーと提携することが極めて重要です。
個人データや財務データを他社に委ねることになるため、その企業が法令を遵守し、データ盗難に保護対策を講じていることを確認する必要があります。
これこそが、堅牢なセキュリティ体制を備えた給与処理パートナーを選択すべき理由です。パートナーは暗号化されたシステムを使用し、最高レベルの厳格なデータセキュリティ対策を実施し、関連するすべてのデータ保護法(欧州のGDPRやカリフォルニア州のCCPAなど)を遵守している必要があります。Remoteはこれらすべての条件を満たし、GDPR、SOC 2、ISO27001の標準に準拠しています。
外部の給与処理業者(または複数のプロバイダー)と提携すると、対応の遅れや誤解など、コミュニケーションに関する問題につながる可能性があります。文化や言語の違いが大きい、馴染みのない市場のプロバイダーと提携する場合は、特にその傾向があります。
この問題を軽減するには、良好な関係を築き、互いに明確な意思疎通を図ることができる方法を見いだすことが重要です。同じ認識を保つために定期的なチェックインを予定し、給与処理企業に専任の連絡窓口を設置するといいでしょう。
「CSM、というよりもRemoteチーム全体が、明確な指導をしてくれます。私の母国語は英語ではないので、コミュニケーションのスタイルには非常に好感が持てます。手続き中に、1人ではないと心強さが感じられます」
- Semrush人事業務スペシャリスト、Evgeniia Maksimova氏
前述のとおり、外部委託による潜在的なコスト削減効果は、企業の規模や状況にもよりますが、非常に大きくなる可能性があります。
それぞれのコストとメリットについて説明しますので、自社にとって最適な方法を判断してください。
社内に給与処理部門を置くと、社内チームの給与や福利厚生を支給し、給与税を納付する必要があります。また、チームが最新のツールやトレンドを理解できるよう、研修を行う必要もあります。他のスタッフが給与処理業務に時間を取られる場合もあります。
さらに、本来ならビジネスの成長を後押しできるはずのリソースが、給与処理にとらわれる可能性もあります。グローバルな規則を管理し、ミスのない状態を維持するのは難しく、そのために予算を割くのは非常に負担です。
逆に言えば、社内で処理すると、細やかな管理とカスタマイズが可能になるということでもあります。社内システムとの同期が容易になり、ポリシーの更新や再編成にすばやく対応できます。また、自社の専門知識を蓄積し、即時のコミュニケーションを確立できます。特に第三者が運営上の問題に直面している場合は、その第三者に依存しなくとも済むようになります。
給与処理を外部委託する場合のコストは、若干予測しやすくなります。一般的には、月額または年額料金のほか、サービスを追加すると別途料金がかかります。また、最初はなかった追加料金を盛り込む給与処理プロバイダーも存在しますが、ほとんどの場合は、効率的に予算を活用できます。
コストを分析する際、給与処理の外部委託には、波及効果があることに注意しましょう。チームを給与処理業務から解放することで、別の価値を生み出すことができます。
また、高額な費用がかかるミスもほとんどなく、高度な技術を利用し、簡単に規模を拡大できる柔軟性を備えた、多様な給与処理ニーズに対応する専門業者に対価を支払うことになります。
チームのグローバル給与を管理し、国際労働法を遵守する方法について説明しています。
前述のとおり、適切な給与処理プロバイダーに外部委託することが重要です。では、どうすればいいでしょうか。
従うべき手順は次のとおりです。
どの購買決定にも当てはまりますが、まずは一歩引いて、自社のビジネスニーズを正しく理解する必要があります。
自分自身に問いかけてみましょう。
現在の事業規模はどの程度か、今後どの程度の拡大が見込めるか。
給与処理ニーズはどの程度複雑か。
特定の地域での国際給与処理や、業界知識の必要性など、特別な要件はあるか。
調査を始める前に、上記の点を明確にしておきましょう。
税法や労働法に関する現地の専門知識があることは必須条件です。前述のとおり、故意であるかそうでないかを問わず、コンプライアンス違反が起きると企業は苦境に陥るおそれがあります
特に新しい市場で給与処理パートナーを探している場合には、この点の評価は難しいこともあります。可能な場合はデューデリジェンスを行い、パートナー候補について、できる限り詳細に調査してください。連絡先に問い合わせ、G2のような信頼性の高いサイトのカスタマーレビューを参照し、候補企業が事業を展開している地域でコンプライアンス上の問題や訴訟を抱えていたか(あるいは現在抱えているか)を確認しましょう。
デモやプレゼンテーションに進む場合は、そのベンダーのモデルも明確にしておきましょう。コンプライアンスや税法に社内で対応していますか、それとも第三者に外部委託していますか。契約前にできる限り詳細に調査し、必要であれば質問しましょう。
前述のとおり、セキュリティは極めて重要です。プロバイダー候補に、同社が扱うすべての機密データの保護対策について質問し、単純に「対策している」と返答されただけで納得しないようにしてください。
正式なセキュリティ認証やプロトコルを含め、どのようなセキュリティ対策を導入しているのか、詳しく確認しましょう。可能であれば、自社内のセキュリティ専門家に相談してください(それでも不明な場合は、外部のセキュリティ専門家に問い合わせてください)。給与処理プロバイダー候補がこの情報を提供しようとしないか、提供できない場合は、懸念材料と考えられます。
給与処理を外部委託する側にとって最大の問題のひとつは、追加料金や「こっそり課される」コストです。こうしたコストは、誠実性を欠くだけでなく、雇用予算に大きな影響を及ぼしかねません。
プロバイダーの基本料金でまかなわれる範囲と、(もしあれば)追加料金が発生する範囲を最初から明確にしておきましょう。基本事項を確認し、標準的な給与業務コストだけに注目せず、想定されるシナリオについても質問するようにしてください。たとえば、プロバイダーによっては、従業員が退職する際に契約解除料が追加されていたり、新しいプロバイダーへの移行に多額の費用がかかったりする場合があります。
特に時間が限られている場合の給与処理において、親身に対応してくれる信頼できるカスタマーサポートは非常に重要です。
プロバイダーを検討する際には、カスタマーサポートのプロセスについて詳細に調査しましょう。年中無休で受け付けていますか。どのようなサポートチャネルが利用できますか。自国の言語で対応してもらえますか。専任のアカウントマネージャーは用意されますか。
さらに、セルフサービスのリソースも評価しましょう。エージェントを通す必要がなく、すぐに回答が必要な場合もあります。わかりやすく文書化されたナレッジベースが整備されていますか。求めている情報をすぐに探せますか。
最も避けたいのは、パートナーシップ契約を結んでおきながら、電話やメールに応答がなく、自分で対応しなければならなくなることです。
「すぐに、Remoteは当社の成功を考えてくれていると、つまり、向こう側には、真剣に当社の意見を聞き、当社のために解決策を探そうとしてくれている担当者がいるのだと感じました。単にウェブサイトのFAQシートに誘導されるだけ、ということはなかったのです」
- Semrushシニアグローバルモビリティおよびリモート採用担当者、Maria Shkaruppa氏
人事業務を大幅に効率化するには、既存の人事技術スタックとシームレスに統合できる給与処理プラットフォームを利用しましょう。統合をカスタマイズできるよう、APIオプションがあれば理想的です。
あるいは、RemoteのようなオールインワンのグローバルHRプロバイダーと提携し、一元管理することもできます。
当社のプラットフォームには、(統合やAPI機能だけでなく)次のような複数のツールが用意されています。
Employer of Record(EOR)サービス
グローバル給与処理
福利厚生管理
人事情報システム(HRIS)
契約社員管理
ビジネスの効率化と成長に貢献できる当社のグローバルHRソリューションについて、詳細をご覧ください。
最後に、ビジネスの成長戦略を念頭に置きましょう。ある国でしか従業員の雇用と給与支給を行わないのであれば、その国の給与処理プロバイダーと提携する方が合理的といえます。
しかし、他国での雇用から得られるさまざまなメリットを活用しようと考えているのであれば、その条件に対応できる給与処理プロバイダーを選択した方がいいでしょう。
状況が急速に変化して転換期が訪れることもあり得ますが、共に成長できないプロバイダーとの契約にとらわれるべきではありません。
外部委託を始めると決定した場合は、慎重に計画を立て、従業員の懸念に配慮する必要があります。社内処理から外部委託に移行する際に考慮すべき主な点は次のとおりです。
何かを実行する前に、チームに変更の意図を伝えてください。変更される点や、変更の理由、そして何よりも、その変更がチームに与える影響について説明しましょう。
全員に情報を共有することで、期待事項を管理し、不安や不確定要素を軽減し、チームがあらゆる段階で情報を得られるようにします。
給与データを提出する前に、正確で明瞭なデータかどうかを確認し、矛盾や古い情報があれば修正します。
これにより、将来発生する可能性のある問題を予防し、成功の土台を築くことができます。
移行をスムーズに進めるには、計画を立てることが推奨されます。スケジュールを設定し、責任者を決定し、プロセスの重要なマイルストーンを明確に示します。
給与処理プロバイダーと蜜に連絡を取り、計画が現実的で達成可能であることを確認しましょう。
できる限りプロバイダーを信頼しましょう。その経験と専門知識は非常に貴重であり、潜在的な問題を事前に発見し、未然に防ぐことができます。
何よりも、このパートナーシップは、単に業務を委託するだけでなく、プロバイダーの専門知識を活用することで、双方にとって可能な限り負担のないプロセスを実現しようとするものなのです。
外部委託を考えているのであれば、複数の第三者を探し、慎重に検討し、提携することも1つの選択肢です。しかし、これでは効率が悪く、無駄に人件費がかかりがちで、信頼関係も構築しにくくなります。
最適化された1つのソリューションを通じて国内または複数国でサービスを提供するパートナーと提携する方が、はるかに簡単で透明性も高まります。具体的には、以下のようなサポートが可能です。
給与処理の統合
人事管理業務を最小化
現地の労働法の遵守を徹底
給与コストを削減
国際送金と資本金送金を実行
税額控除と確定申告への対応
手間のかかる作業はすべてRemoteに任せれば、安心感が得られ、時間、資金、リソースを他の分野に集中させることができます。
詳しくは、Remoteの専門担当者にぜひご相談ください。Remoteが提供できるサポートについてもご説明いたします。
Remoteで給与業務を統合すると、コスト削減、税金や福利厚生の管理、国際的な法令遵守が可能になります。
いいえ。通常、特に中小企業にとっては、外部委託の方が費用対効果の高い選択肢です。新たなインフラや専任の給与処理担当者を設置する資金がない場合には、外部委託することで大きな出費を避けることができます。
給与処理の外部委託費用は、一般的に透明性が高く、月額の定額制で提供されることが多いです。このため、予算を守ることができます。外部委託にはメリットもデメリットもあり、最適な選択肢は企業の独自のビジネス目標に依存します。
適切な人事ソリューションを選択すれば、外部委託は費用対効果の高い選択肢になり得ます。追加の人員を雇用する際に発生する諸経費を負担することなく、専門的なスキルや知識を活用することができます。たとえば、PCや事務所スペース、福利厚生などにかかる経費を削減できます。
特定の業務を外部委託することで、既存チームの負担を軽減できます。また、コンプライアンスの確保、人為的ミスの削減、オンボーディングプロセスの改善にも適しています。
外部委託を利用することで、社内要員の人件費を捻出できるようになるまで、企業は成長と規模拡大に取り組むことができます。
給与処理システムを最適化する前に、潜在的な課題に備えましょう。たとえば、給与処理の精度や税務コンプライアンスの確保は最優先事項にすべきです。
また、従業員の福利厚生、時間外労働、セキュリティについても考慮する必要があります。給与処理には従業員の機密情報が必要ですが、この情報は保護される必要があります。
Remoteのような効率的な給与管理ソリューションを選択し、大きな問題を未然に防ぎましょう。給与処理の要件を簡単に満たすことができ、世界中どこでもチームメンバーをサポートできます。
正確な給与処理を行うには、生年月日、社会保障番号、住所、給与額などの個人情報を収集する必要があります。
この種のデータは犯罪者にとって非常に価値が高いため、常にセキュリティの不十分な侵入経路を狙っています。外部委託する際のセキュリティ侵害リスクを軽減するには、選択したパートナーが厳格なセキュリティ対策を実施していることを確認してください。たとえば、GDPRのようなデータ保護法を遵守している必要があります。
また、自主的なセキュリティ・コンプライアンス基準であるSOC 2も、機密データの取り扱いに関して明確なガイドラインを定めているため、準拠が推奨されます。
読者登録いただくと、
Remoteの最新ブログ記事と最新情報をお届けします。
日本 — 10 min
フィリピン — 20 min
グローバル給与処理 — 20 min
EOR・PEO — 22 min