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フィリピンで独立契約業者として事業を立ち上げるには

執筆者: Pedro Barros
Pedro Barros

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フィリピンで独立契約業者になりたい方に朗報です。ボラカイ島のサンゴ礁のように色とりどりのワクワクするような冒険があなたを待っています。

お客様が事業を立ち上げようとしているのは、雑然とした中に活気が溢れるマニラでしょうか、深い緑の中に静けさが広がるバタネス州でしょうか、それとも、まるで夢の中にいるような白砂のビーチが広がるエルニドでしょうか。どこを選んでも、この素晴らしい島々は仕事とライフスタイルの両立に理想的な場所です。

ただし、自営業者として本格始動する前に、次のことを知っておく必要があります。

  • フィリピンでの事業を登録する方法

  • 従業員として誤分類されないようにする方法

  • 法令を遵守した契約書を作成する方法

  • 世界中に請求書を発行し、世界中から代金を回収する方法

本稿では、これらのテーマをすべて取り上げ、お客様が自営業者としての納税責任を果たせるようにお手伝いいたします。さらに、フィリピンでビジネスチャンスを最大限に広げるにあたって注意しなければならないその他のリスクと義務についてもご説明します。

フィリピンの法律に基づく独立契約業者の定義

独立契約業者とは、他者に有償で役務(または製品)を提供する労働者です。しかし、従業員とは分類が異なり、一般に有給休暇、病気休暇、最低賃金などの福利厚生を享受することができません。その反面、契約業者の働き方は自由度が高く、柔軟です。

独立契約業者の定義

こちらもご覧ください: 企業が契約業者と海外従業員を雇う理由

フィリピンの労働法に、独立契約業者のみについて定めた条項はありません。しかし、労働法の指針によれば、一般に次に該当する場合は契約業者とみなされます。

  • 勤務の予定と労働時間を自分で決定している

  • 他社の業務も請け負っている

  • 料金と業務の範囲を自分で設定している

  • 業務用のツールや機器を自分で用意している

  • 特定の会社およびその業務に組み込まれていない(例えば、社内のメールアドレスを持っていない)

  • 業務を委託または外注することができる。

  • 指示や監督を受けずに働く

顧客の業務に携わる際に、ペナルティや罰金を回避し、適正に納税するためには、正しく分類されることが重要です。

フィリピンで独立契約業者になるのであれば、禁じられている労働取決めを避け、現地の労働法を遵守するよう注意を払わなければなりません。

フィリピンで事業登録を行うには

フィリピンで独立契約業者として活動し始める前に、まずご自分の事業の正式な構造を選択する必要があります。自営業者に人気のあるモデルは次の2つです。

  • 個人事業主:よくある単純な構造で、個人の独立契約業者に最適です。ご自分(オーナー)と事業は法的に分離されておらず、ご自身が事業を完全にコントロールすることができます。事業の債務と義務に対しては、ご自分が個人的に責任を負います。

  • 一人会社(OPC):2019年5月に導入された正式な法人。個人であるご自身とは法的に分離されます。すべての収入と損失は、個人ではなく会社に帰属します(つまり、ご自分が会社に投資した資本に対してのみ責任を負います)。OPCの税と法的責任は、個人事業主よりはるかに厳しく複雑であり、証券取引委員会(SEC)への登録も必要です。

さらに、パートナー(自然人または法人)と協働する場合は、各種の会社を設立したり、パートナーシップを結んだりすることも可能です。どの形態が自分の事業に最適か迷った場合は、弁護士や公認会計士に相談してください。

個人事業主とOPCの比較

フィリピンで個人事業主として登録するには

フィリピンの独立契約業者にとって最もシンプルな事業形態は個人事業主です。自由と柔軟性が得られる反面、オーナーであるご自身と事業が法的に分離されていないため、多くのリスクがあります。

個人事業主型の事業形態を選択する場合は、次に挙げるようにいくつかの手続きを経る必要があります。

  1. 最寄りの貿易産業省(DTI: Department of Trade and Insutry)出先機関で、DTIへの事業登録を行います 。さらに、事業名登録局(BNRS: Business Name Registration Service)を通じて事業名を登録しなければなりません。この手続きは、オンラインで行う方法と、DTIオフィスにご自分で出向いて記入と提出を行う方法があります。

  2. お住まいの地方自治体(LGU)からの営業許可書を取得します 。お住まいの地域にもよりますが、通常は市長室またはバランガイの出先機関に申請します。この許可書を取得するための要件は、お住まいの地域によって異なります。

  3. まだお持ちでない場合は、内国歳入庁(BIR: Bureau of Internal Revenue)から納税者番号 (TIN: tax ID number)を取得してください。申請には、BIRフォーム1901への記入が必要です。

  4. ソーシャル・セキュリティ・システム (SSS)への登録 (未登録の場合)。登録を申請する場合は、SSフォームRS-1に必要事項を記入し、最寄りのソーシャルセキュリティ・オフィスに提出します。

事業内容によっては、担当規制当局への登録が必要となる場合もあります。

フィリピンでOPCを登録するには

OPCの場合、オーナーは事業の完全な支配権を与えられます。課される責任は有限ですが、経営に関する要件は複雑で、個人事業主とは異なる税制が適用されます。

OPCの形態を選択する場合には、次の手続きを踏む必要があります。

  1. 証券取引委員会(SEC)を通じて事業名を登録 します。社名の末尾には必ず「OPC」をつけてください。

  2. 法人設立の日から15日以内に経営幹部を任命 します。コーポレート・セクレタリーおよび会計責任者を任命しなければなりません。また、この2つの役職はいずれもフィリピン国籍者でなければなりません。また、ご自分が事業の経営または運営を継続できなくなった場合にこの法人を引き継ぐ候補者とその交代要員を任命しなければなりません。

  3. Electronic Simplified Processing of Application for Registration of Company (eSPARC)フォームに必要事項を記入します。この手続きは、SECポータルで[Regular Processing]を選択して行ってください。

  4. SECからのEメールに従って認証済みの書類をアップロード します。これらのフォームが承認された時点で登録料を納付します。

フィリピンに住んでリモートワークに従事するには

各地を旅したり、そこに住んだりしながらリモートワークに従事する方をデジタルノマドと呼びます。

フィリピンは、2023年6月にデジタルノマドビザの発給を決定しました。このビザは、リモートフリーランサー、契約業者、従業員がフィリピンに12カ月間滞在できるビザで、さらに12カ月の延長が可能です。

デジタルノマドビザ

デジタルノマドビザの発給を受けるためには次の条件を満たさなければなりません。

  • 有効なパスポート

  • リモートワークに従事していることの証明

  • 最低所得基準を超えていることを証明する書類

  • バックグラウンドチェックのための証拠書類

  • 海外旅行保険への加入

フィリピンでリモートワーカーとして働く場合は、フィリピンのライフスタイルを楽しみながら、あらゆる顧客のもとでも自由に働くことができます。また、デジタルノマドはフィリピン国外で得た収入に対して現地で課税されません。つまり、国籍国の税制を遵守するだけでよいということです。

フィリピンで独立契約業者として報酬を得るには

独立契約業者の場合、請求書の発行と代金回収は自分で行わなければなりません。残念ながら、それぞれの顧客に一つひとつ請求書を出し、顧客が希望する決済方法で代金を回収するのは効率が悪く、時間がかかります。

フィリピンで就労し、代金の支払いを受ける際に一般的に使われる方法は次の通りです。

  • 銀行振込

  • 口座振替

  • 紙の小切手

  • マネーオーダー

  • 仮想ウォレット

  • PayPalやWiseなどのデジタル送金サービス

どの方法にも長所と短所があります。たとえば、銀行送金やデジタル送金は非常にスピーディですが、多くの場合は高額の手数料がかかります。また、フィリピン以外の国にも顧客がいる場合、代金回収プロセスはさらに複雑になることが考えられます。

そこで代わりにご提案したいのが、Remoteのような信頼性の高いソリューションを利用する方法です。Remoteのフリーランサーハブは、フィリピンペソで手早く報酬を受け取るためのシンプルで安全な、信頼できる手段です。追加料金は一切かかりません。登録は無料です。顧客の管理、契約の整理、代金回収を今すぐ始めましょう。

フィリピンで独立契約業者に課される税

独立契約業者は確定申告を義務付けられています。

嬉しいことに、フィリピンの個人事業主は(個人の納税番号を使用して)自分の事業利益に対して個人所得税を納めることになっています。つまり、納税申告書を別途作成する必要はありません。

多くの国と同じく、フィリピンも累進税率制度を採用しています。所得に基づくレンジの基準額を超えた部分に対して0~35%の税率が適用され、さらに一定の税額が加算されます。総所得がVATの基準額である300万ペソ(約785万円)を下回る場合は、さらに3%の事業税を納付しなければなりません。

納税申告書(BIRフォーム1701)の提出期限は毎年4月15日です。

税金 独立契約業者 フィリピン

なお、総所得が25万ペソ(約65万円)を超えていても、VAT基準額を下回る場合は、8%の定率課税を選択することができます(BIRフォーム1701Aを使用)。この選択は将来的に予期せぬ結果をもたらす可能性があるため、課税の方法を選択する前に、資格を持つ税務の専門家に相談することをお勧めします。

さらに、独立契約業者は毎月、社会保険料をSSSに納付しなければなりません。現在、これらの負担金は所得の約14%で、月々の上限は2万ペソ(約52,000円)です。PhilHealth(フィリピンの医療保険制度)への拠出は任意です。

フィリピンの税金については、内国歳入庁(BIR)のウェブサイトをご覧ください。

フィリピンで独立契約業者を営む方のためのVAT情報

年間総収入が300万ペソ(約785万円)を超える場合は、VATの登録を行い、顧客にVATを課さなければなりません。VATの納付は、BIR Form 2550Qを使用し、四半期ごとに行います。逆に、該当する場合は、事業経費分のVATを還付請求することができます。

フィリピンのVAT標準税率は12%ですが、18%の高税率、または0%の低税率が適用される物品・サービスもあります。

フィリピンにおいて独立契約業者に課される義務

個人事業主は、金融債務や納税義務を個人で負うことになるため、事業債務の弁済に個人資産を充てなければならなくなる可能性があります。個人事業主の多くは、こうしたリスクを軽減することを目的として、賠償責任保険に加入しています。

さらに、顧客との間で契約書を作成し、署名する際にはご自分の安全を担保することも重要です。Remoteの法律専門家は、フィリピンの顧客と海外の顧客のどちらについても、法律を完璧に遵守した契約書のテンプレートを提供することができます。

フィリピンで独立契約業者に課される会計上の要求事項

個人事業主は、財務諸表や決算書を公表する必要がありません。ただし、すべての収入と支出(顧客への請求書、発注書、銀行取引明細書、領収書など)を整理し、正確に記録しておかなければなりません。こうしておくことにより、正しく納税申告を行い、ご自分の財務状況を正確に把握することができます。また、税務当局の調査を受けた場合にもスムーズな対応が可能なはずです。

これらの記録は、会計ツールや記帳ツールを使って自分で管理できますが、専門の経理担当者や会計士を雇うことも可能です。

フィリピンにおける契約業者誤分類の危険性

上述のとおり、フィリピンにおいて、独立契約業者は従業員とは分類が異なります。一般に、従業員が受けている保護や福利厚生の多くを契約業者は受けることができません。

このため、企業は法的義務を回避するために、契約業者を故意に誤分類する可能性があります。また、不注意で誤分類が起きることもありえます。誤分類が故意か否かにかかわらず、あなたと顧客はどちらもペナルティや罰金を科されるおそれがあります。

独立契約業者は、顧客と協力することにより、誤分類を防止することができます。ご自分の役割と責任について顧客と話し合い、就労契約を定期的に見直してください。

従業員との誤分類リスク

時間の経過とともに仕事上の関係が変化し、顧客企業との一体性が高まった場合には、従業員への切り替えを求めることができます。

当社の契約社員コンプライアンスチェックリストを使って誤分類を防ぎましょう。

このチェックリストに目を通し、新規採用が契約社員関係と社員関係のどちらに適しているかを判断してください。

A tablet with the title contractor compliance checklist.

フィリピンで働いている会社に従業員への切り替えを求めるには

顧客と話し合い、雇用主と従業員の関係に移行した場合のリスクとメリットを慎重に検討しましょう。特に、自分だけでなく、両者にとってどのようなメリットがあるかを明確にしてください。

また、従業員への移行をスムーズに進めるために、 Remoteなどの第三者ソリューションの利用を提案することもできます。Remoteのグローバル雇用サービスは、主要な人事機能(給与管理や福利厚生管理など)をお任せいただくことにより、フィリピンの法令に準じて、双方がコンプライアンスを維持できるようにお手伝いいたします。

フィリピンでフリーランサーになるには

フリーランサーは、自らの勤務時間を管理し、組織のために短期的に働き、フルタイム従業員のような福利厚生を受けられないという点で、独立契約業者と似ています。両者の大きな違いは、フリーランサーが一般に短期的なプロジェクトで企業に協力するのに対し、契約業者は、長期的なクライアントのために大規模なプロジェクトに従事するという点です。

フィリピンでフリーランサーになるための手順をご説明します。

  1. デジタルノマドビザを取得する

  2. 顧客を探す(リモートのジョブボードをぜひご活用ください)

  3. フリーランサーの納税義務を調査する

フィリピンにおいて、フリーランサーは、段階的な所得税率の適用を受けられますが、所得が25万ペソ超の場合は8%の定率課税を選択することも可能です。独立契約業者と同じく、内国歳入庁に所得タックスリターンを提出します。

Remoteは4つの形で契約業者とその顧客をサポート

すでにお分かりのように、独立契約業者として働く場合には考慮すべき点が多数あります。Remoteがこれらの課題の多くを解決しますので、お客様はビジネスの成長と顧客へのサービス提供に専念することができます。それでは、Remoteはどのような形でお客様をサポートするのでしょうか。

Remoteによる契約業者へのサポート

1.全世界の国々で国境を越えた代金回収をサポート

顧客へのさまざまな請求書発行、承認、代金回収の手順を一つずつ進める作業は複雑で時間がかかります。また、請求書発行や代金回収を手作業で行うと、手数料がかかったり、ミスや遅延が生じたりする危険性も高まります。

Remoteは、厳格なセキュリティで守られた効率的なダッシュボードを提供し、請求書管理と海外からの代金回収のコストパフォーマンスと効率を高めます。お客様は、フィリピンペソ(または他の通貨)で支払いを受けることができます。あとから追加料金が生じることはありません。

2.現地の法令に準じてアプリ内で契約と助言を提供

特に海外の顧客と取引する場合、顧客との合意書や契約書を作成する際に現地の労働法に抵触する危険性があります。Remoteは、フィリピンの法律に準じて作成した現地用の契約書を提供し、お客様の法令遵守を保証します。また、現地の労働者分類や知的財産権保護といった複雑な問題についても、当社の法律専門家が指導いたします。

3.請求書発行を自動化

Remoteを使用すれば、スプレッドシートその他の手作業を伴うツールで支払請求書を作成する必要はなくなります。時代遅れのプロセスや手作業による管理に起因する誤りや遅延の多くを解消することができます。当社のプラットフォームを利用すれば、請求書を作成し、提出して承認を受けた後、お住まいの国の通貨で報酬を受け取ることができます。他のツールやソフトウェアへの切り替えは必要ありません。

4.税務管理

税務管理が複雑な作業であることはよく知られています。Remoteは、請求書と入金に基づいてお客様の所得に関するデータを集計し、複雑とされるその税務管理をお客様が手早く効率的に行えるようお手伝いいたします。

フィリピンでの独立契約業者として事業を立ち上げるには

ご自分の裁量で自由に、柔軟に働けたならば解放感を感じるに違いありません。しかし、事務作業があると、顧客を支援する、優れたサービスを提供する、請求書を回収するという、本来の仕事の妨げになりかねません。

Remoteのような安定性・信頼性の高いプラットフォームを利用することで、こうした事務作業を手軽に効率的に管理できるため、ビジネスの目標に注力できるようになります。具体的には、以下のようなサポートが可能です。

  • 海外の顧客からの代金回収にあたって仲介手数料をなくし、遅延を防ぐ

  • フィリピンおよび海外の顧客を対象として、法令を遵守した契約書を作成する

  • 請求書の管理を強化し、手作業による処理をなくす

  • 労務に関して現地の労働法を遵守する

Remoteのプラットフォームとフリーランサー・ハブが、フィリピンでの(そして、どの国でも!)、スピーディで、シンプルで、シームレスな独立契約業者立ち上げをサポートいたします。

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