ビザ・就労許可 13 min

フィリピンにおける就労許可とビザ:雇用主のためのガイド

執筆者: Sally Flaxman
2023年12月8日
Sally Flaxman

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従業員がフィリピンに転勤する場合、雇用主は関連するすべての労働法および税法を遵守する責任を負います。これには、チームメンバーがフィリピンで合法的に生活し、就労するために必要な就労許可書およびビザの取得も含まれます。

フィリピンの法令を遵守しなかった場合、たとえそれが意図的でなくても、ペナルティや罰金を科されるおそれがあります。ほとんどの会社はEmployer of Record(EOR)と連携し、プロセスの合理化と不遵守リスクの回避に努めています。

フィリピンまたは海外で人材を採用する際にリスクと義務を最小限に抑える最善の方法は、移民法を理解することです。この記事は、次のような場面で、貴社がフィリピンの就労ビザ要件と就労許可を遵守するための手引きです。

  • 現職従業員がフィリピンに転勤する

  • フィリピン国籍者以外を採用する

  • フィリピンで働くデジタルノマドの法令遵守を管理する

  • 自社法人を設立せずにフィリピンで人材を採用する

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フィリピンにおいて入国管理法の遵守が重要である理由

フィリピンで現地の国籍を持たない従業員を雇用する場合の第一段階は、就労権チェックを行い、その従業員がフィリピンで就労することを認められるかどうかを確認することです。次に、その従業員が必要書類(フィリピンにおける職務と滞在期間に応じたフィリピンの有効な就労ビザおよび就労許可証など)をすべて所持していることを確認しなければなりません。さらに、貴社は現地の労働法、移民法、税法も併せて遵守しなければなりません。

雇用主である貴社は、候補者が入国する前にフィリピンの許可をすべて取得していることを確認する責任を負います。たとえ従業員の出張が短期間であったとしても、税金の問題や法的問題が発生する可能性があります。

全プロセスを通じて法令を遵守することを怠った場合、企業のリスクは高まり、財務上の問題や法律的な問題が生じるおそれがあります。雇用法を遵守することを怠れば、従業員は国外退去処分を受ける可能性があります。また、貴社は法的な問題が生じたり、刑事訴追を受けたりする可能性があります。

パンデミックが発生するまでは、フィリピンでもリモート従業員が観光ビザで就労することは容易でした。しかし、各国政府は厳しい姿勢を取るようになり、観光ビザのみを所持する者が外国で働くことを禁ずる法令を次々と施行しました。

フィリピンで就労許可証チェックが必要な従業員

フィリピンでフィリピン国籍者以外を就労させる場合には、到着後の即時就労が法律的に認められているかどうかを確認する必要があります。 

就労資格チェックが必要な労働者の種類は次の通りです。

  • 一時滞在者

  • 就労許可居住者

  • 永住者

雇用チェックと就労許可取得手続きは、費用だけでなく手間と時間がかかります。貴社は現地の労働法と税法に精通し、転勤手続きを管理するためのリソースを持たなければなりません。 

自社で手続きを行う代わりに、RemoteなどのEORを利用して、転勤手続きの簡素化と合理化を図る方法もあります。貴社の従業員はプラットフォームに直接書類をアップロードすることができます。Remoteモビリティチームの専門家が貴社に代わって就労権チェックを行い、フィリピンの就労許可書取得手続きを円滑に進めます。従業員が所持する就労許可証が無効であることが判明した場合は、Remoteがすべての関係者と協力し、迅速に手続きを進めます。

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Remoteが提供する、国際雇用の管理サポートや、専門的な移住・転勤サービスを利用して法令を遵守しながら手間をかけずに転居できるサポートについてご紹介します。

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フィリピンにおいて、外国人は就労ビザまたは就労許可証が必要ですか

フィリピン政府は、外国人が同国での就労を予定している場合、入国管理局(Bureau of Immigration)で就労ビザの発給を受けることを全員に義務付けています。また、貴社の従業員は、労働雇用省(DOLE)が発行する外国人雇用許可証(AEP)を取得する必要があります。 

就労ビザを取得すると、フィリピン政府は、貴社の従業員が就労を目的として滞在していると判断します。就労ビザは観光ビザより滞在期間が長くなっています。 

フィリピンの就労ビザは外国人の就労を許可するビザで、有効期間は1~3年です。 正式な有効期間は本人の雇用契約に基づいて決定されますが、従業員は、1~3年の延長を申請することにより、ビザの有効期間を延長することができます。

就労ビザの発給手続きには時間がかかる場合があるため、フィリピンで従業員が必要なタイミングに間に合わないことがあります。そこで、フィリピンは、ビザ発給手続きが完了する前に外国人が就労を開始できる暫定就労許可を設けています。従業員がAEP申請書を提出すると、暫定就労許可証を申請する資格が与えられ、2週間待つだけで許可が下りる場合もあります。

他の多くの国と同じように、就労許可証には従業員の職種、勤務地、雇用期間が定められています。これらのいずれかに変更があった場合、旧許可証は無効となるため、従業員は新規のAEPを申請する必要があります。

ビザと許可証の取得手続きは複雑で、フィリピン現地の労働法、税法、移民法の深い知識が必要となります。法令を完全に遵守しながら時間とリソースを節約するための最善の方法は、RemoteのようなEORとの連携です。Remoteの雇用専門家チームは、時間をかけずにフィリピンの法律を簡単に遵守できる現地の知識を持っています。

フィリピンでの就労ビザの申請資格

フィリピンに滞在する外国人が貴社で就労するためには、ビザと就労許可証の両方が必要です。したがって、貴社は手続きのあらゆる側面に積極的に注意を払う必要があります。フィリピンの就労ビザには資格要件が設けられています。同国において法令を遵守し、合法性を維持するためにはこの要件を満たさなければなりません。

職種または雇用期間によって数種の就労ビザが適用されます。ほとんどの従業員は9(g)就労ビザを申請します(詳細は後述)。外国人向けに発給されるビザとしてはこれが最も一般的だからです。

EORと提携している場合を除き、貴社はすべての要件を把握する必要があります。 

貴社の従業員は就労ビザを取得する前に就労許可証を取得しなければなりません。ただし、次の条件に該当する外国人はAEPの取得を免除されます。

フィリピンの長期滞在ビザの種類

政府が発給するビザにはさまざまな種類がありますが、外国人はどのビザでも国内での就労が認められるわけではありません。 

以下に、従業員がフィリピン国内で就労できるビザおよび就労許可証の一覧を挙げます。

商用の短期滞在ビザ:9(a)ビザ

貴社の従業員が商用でフィリピンに立ち寄る必要があるが、数年間も滞在する予定はないという場合には、商用短期滞在ビザ(9(a)ビザ)が最適です。 

ほとんどの外国人は9(a)ビザでフィリピンに30日間滞在できますが、実際に滞在が認められる期間は出身国によって異なります。7日間の滞在しか認められない外国人もいれば、59日間滞在できる外国人もいます。初回有効期限の終了時に、貴社の従業員は最長16カ月間の滞在延長を選択することができます。

事前手配を要する就労ビザ:9(g)ビザ

9(g)ビザは、フィリピンで就労を希望する外国人に発給される最も一般的なビザです。このビザを取得する前に、従業員はDOLEからAEPを取得しなければなりません。

9(g)ビザを取得した外国人は、複数回にわたって入国することが可能です。したがって、その従業員はフィリピンでの雇用を継続したまま国外に移動することができます。ビザの正確な有効期間は、雇用契約に記載される就労形態によって異なります。

このビザの申請手続きはおよそ2~3カ月かかります。ここにはAEPの申請も含まれます。AEP申請に要する期間は通常2~3週間です。就労ビザと就労許可証の発給を長く待てない従業員には、暫定就労許可証を申請するという選択肢があります。手続きにかかる時間は短縮されますが手数料は割高です。

条約投資家ビザ:9(d)ビザ

9(d)ビザは、フィリピンで就労を希望する外国人のためのビザですが、対象はフィリピンとの間で二国間貿易協定が結ばれている国の国籍者のみです。この種の協定が結ばれているのは日本、ドイツ、アメリカです。従業員はこのビザを最長2年間使用することができます。

条約投資家ビザを申請する従業員には、次のような特別な要件が設けられています。

  • 雇用契約終了後、当該従業員にはフィリピンから出国する意思がある。

  • 当該従業員の国籍が雇用主と同じである。

  • 雇用主がフィリピンとの間で多額の取引を行っており、その金額が12万ドル以上である。

  • 当該従業員が会社の重役または管理職である。

暫定就労許可証

短期観光ビザしか保持していないが、現地での就労を希望する外国人は暫定就労許可証が必要です。この許可証は、9(g)ビザの申請手続きをすでに行っているが、手早く合法的な就労資格を取得したい従業員に最適です。

暫定就労許可証は3カ月間、または9(g)ビザが承認されるまで有効です。従業員は、AEPの申請中に暫定労働許可証を申請することもできます。従業員は、就労ビザが正式に承認されるまで、暫定就労許可証の延長を申請することが可能です。

外国人雇用許可証(AEP)

外国人は、AEPを取得しない限り貴社で就労できません。外国人雇用許可証は、従業員が就労ビザを取得する前にも必要となります。前述の通り、資格要件を満たす特定の外国人には免除があります。

AEPの有効期間は1年間ですが、実際の有効期間は雇用契約の期間に応じて決まり、最長3年となっています。AEPを申請できるのは、雇用主または従業員のいずれかです。

AEPには職位と雇用主が明記されているため、この2項目のいずれかが変更された場合、AEPは無効になります。企業がフィリピンの規則に反したと判断される最も一般的な理由はこれです。従業員の職位または職務がAEPの記載内容と一致しなくなった場合、貴社は厳しいペナルティや罰金を科される可能性があります。Remoteをご利用いただけば、このような不遵守リスクを回避することができます。

フィリピンの就労ビザを取得するには

従業員が就労許可証を取得すると、就労ビザの申請資格が与えられます。就労ビザの申請は、雇用主または従業員のいずれかが行うことができますが、就労ビザへの移行の成否は貴社の事業を左右するので、手続き全体を通して会社が積極的に関与することをお勧めします。 

フィリピンの就労ビザを取得するためには、次の手順を踏まなければなりません。

  1. 入国管理局(Bureau of Immigration)の広報支援課(Public Information and Assistance Unit)でCGAFフォームを入手します。

  2. すべての書類を提出し、最寄りの入国管理局出先機関で事前審査を受けます。

  3. 申請にかかる手数料をすべて納付します。

  4. 正式な領収証書の写しを提出します。

  5. 就労ビザ取得のための面接に出席します。

  6. 外国人登録課(Alien Registration Division)の指紋採取カウンターで生体データを提出し、ACR I-Card申請書を提出します。

  7. 承認を待ちます。

フィリピンに従業員を転勤させる手続き、またはフィリピンで外国人を雇用する手続きは2~3カ月ほどかかります。貴社はフィリピン現地の労働法、税法、移民法に精通し、関連する法令を常に遵守するために絶えず進捗状況を監視する必要があります。

貴社が転勤手続きの監視に必要なリソースを割きたくない、または割くことができない場合には、Remoteをご利用いただけば、時間とコストを節約することができます。すべての法令遵守を、Remoteのリロケーションサービスの専門家が管理いたします。

フィリピンで従業員の就労ビザのスポンサーになるには

チームメンバーを転勤させる場合や、就労許可証のスポンサーになる場合は、あらゆる段階で法令遵守に注意を払わなければなりません。何らかのミスがあれば、貴社は直ちに法令不遵守になりかねません。

就労許可証には従業員の役職が明記されているため、従業員の地位が変更された場合は、改めて申請が必要となります。つまり、従業員にその職務を遂行する資格があるどうかを確認するだけのために、長く待たされ、手数料を多く納付しなければならないということです。 

複雑なフィリピンの法律体系に抵触せずに乗り切ることは、規模を問わず、企業にとって大変な負担です。ほとんどの会社は、RemoteのようなEORのメリットを活かすことができます。Remoteのモビリティチームが、現地の法令に精通した法律の専門家を使って、海外転勤の手続きをスムーズに進めます。貴社は、次に挙げる事柄を含め、転勤手続き全体を通じてサポートを受けることができます。

  • 保険

  • 転勤および定住の支援

  • 異文化研修

  • 移住および税務に関する助言

  • ビザ取得に関する助言およびスポンサー

Remoteのモビリティチームが、従業員の転勤、労働許可証から、ビザ、就労許可まで、あらゆる面で貴社をサポートします。

フィリピンのデジタルノマドビザの要件

2023年6月、フィリピンは近い将来、同国に長期滞在して就労することを希望するリモートワークのプロフェッショナルやデジタルノマドのために、2年間のノマドビザの発給を開始すると発表しました。ビザの発給要件はまだ確認中ですが、いくつかの資格基準を挙げます。

  • 有効なパスポート

  • 最低所得要件

  • 健康保険への加入

  • 犯罪歴がないこと

  • リモートワークに関する要件(申請者は、自営業者、従業員または事業主でなければなりません)。

フィリピンでの雇用にEmployer of Record(EOR)を利用する理由

フィリピンでリモート従業員を合法的に雇用するためには、現地法人を設立しなければなりません。

海外法人を設立するためには、現地の労働法や税制に精通していなければなりません。また、法律的な書類作成や人事に関する手続きなど、面倒な管理業務もすべて自社で行わなければなりません。

そこで、ご紹介したいのが、企業に代わり、法令を遵守しながら給与計算や福利厚生の提供、納税申告などの人事業務全般を担うサービス、Employer of Record (EOR)です。Remoteなどの信頼できるEORと連携すれば、海外での採用をスムーズに進めることができます。Remoteの雇用専門家チームが、採用、福利厚生、税、給与処理、コンプライアンスをサポートするので、海外での雇用にかかる時間と手間を最小限に抑えることができます。

海外でリモート従業員を採用し、給与を支給する方法については、フィリピンでEORを使用する方法に関する詳細ガイド(下記)をご覧ください。

Remoteを利用してフィリピンでのビザと就労許可証取得に対応

現地の労働法、税法、移民法をすべて知ろうとした貴社は、フィリピンでの採用を躊躇するかもしれません。 

デジタルノマドビザや移住、長期滞在ビザ、その他の懸案事項の管理は、多くの企業では対応しきれないほどのリソースを必要とします。一番手間のかかる業務は、Remoteのような信頼できるパートナーにお任せください。 

RemoteのグローバルHRプラットフォームは、貴社と従業員が法令遵守を完全に維持しながら、スムーズな異動を行えるように、必要な機能をすべて提供します。貴社が従業員を海外で採用するとき、または海外に転勤させるときは、Remoteが次のような形でお手伝いさせていただきます。

  • 海外の税法を調査し、PEリスクを回避する。

  • 就労許可を確認する。就労許可証とビザの取得手続きを行う。入国管理手続き全体にわたり指針を示す。

  • 必要に応じてビザの更新および延長を行う。

  • ビザ申請手続きおよび申請書の提出を行い、事務処理および書類作成の負担を解消する。

  • 次々と改正される労働法および規則の遵守を維持する。

Remoteのリロケーション・ガイドをダウンロードしてください。従業員の転勤手続きを効率的に、簡単に行う方法をご確認いただけます。転勤手続きを今すぐ開始したい場合は、モビリティ・スペシャリストにご相談ください。 

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